非常勤ではいけないのか

2013年3月27日水曜日

生き方について思うこと

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 アルバイト、パート、派遣、契約社員等の「非正規雇用」の労働者が近年増えている。
 それを問題視する向きもあるようだが、いったい何が問題なのだろうか。

「非正規雇用」と「正規雇用」の違いは、厳密には契約期間にある。前者は有期限、後者は無期限。契約自体は両者とも正式なのだが、「非正規雇用」というと何かが正式ではないような気がする。この表現自体に問題があるようにも思う。

 今日、新卒者は正規雇用を前提に就活するし、転職希望者も同じだろう。だから非正規雇用で働く人たちは、どこか「正規雇用してもらえなかった人たち」というふうに見られがちではないか。
 これは前提に、「正規雇用=まっとうな人間」という図式があるからではないか。

「正規雇用」つまり常勤職員のメリットは、終身雇用と社会保障、各種手当、賞与等にある。終身雇用なんてもう古いという意見もあるが、まだまだ日本の多くのサラリーマンが、特に問題なければ、入社した会社で定年を迎えている。
「非正規雇用」には基本的に、上記の特典はない。だからみんな常勤職員になろうとするし、それは必然的なことだ。

 常勤職員になることは、決して悪いことではない。

 しかし私がおかしいと思うのは、常勤職員でなければダメだ、という考え方である。

 常勤職員のデメリットは、その長い拘束時間と、年々増えていく責任にあると私は思う。
 最低でも週5日で40時間の勤務時間だが、多くの人は40時間では済まない。望まない残業もあるだろう。
 責任というのは、一部の男性は喜んで負うだろうが、それを負い続けるのは相当なストレスとプレッシャーである。人によってはシャレにならない事態にもなりうる。

「非正規雇用」にもいろいろあるが、例えばパート勤務の場合、月120時間以上働けば、社会保障を受けることができる。企業によっては賞与も支払われる。
 このパート勤務の最大のメリットは、勤務時間を(完全にとは言わないが)コントロールできるところにある。例えば用事がある日は午前中だけ働くとか、午後だけ働くとか、調整して一週間ほど休むとかだ(もちろん業態によって千差万別だろうが)。もちろん、多く働いたっていい。

 だからパート勤務の方がいい、ということにはならない。が、立派な選択肢の一つとして、そういう働き方があっていいはずだ。

 ポイントは会社への献身度にあると思う。
 会社に尽くしたい、実績を残したい、あるいは出世したい、高給とりになりたいという人は、なれるなら常勤になればいい。
 しかしそう願わない人がいて、なれるのなら、非常勤になってもいいはずだ。

 私の知り合いに、定年まで非常勤職員を貫いた男性がいる。彼は両親の介護をするため、一度も常勤職員になったことがないそうだ。定年を迎えた今も、塾の非常勤講師をしている。国民年金をもらえるのは、まだ数年先の話だ。
 それで後悔しているのかというと、どうもそうは見えない。それより親の介護という、子としての義務をしっかり果たした、その満足感の方が強いように見える。

 非常勤職員として、自分の時間を有効に活用したい、という人はいると思うし、それで仕事以外の目標に向かって生きていくことは、素晴らしいことだと私は思う。決してバカにされたり貶されたりすることではない。
 もちろん、常勤職員として働きながら、同様に目標を掲げることだって素晴らしいことだ。

 働き方や生き方は、人それぞれでいいと思う。それぞれが納得して、ある程度満足してそうできるなら、それが一番いいのではないだろうか。

 仕事は非常勤だっていいのだ。

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