2012年10月30日火曜日

定期演奏会

縁あって、新宿にある都立総合芸術高等学校の定期演奏会に行った。
合唱と合奏で1時間半。途中休憩20分。
プロが聴いたらどんな感想を持つかわからないが、私は大変満足できた。高校生とは思えないクオリティである。

いわゆる演奏会に行ったのは初めてだったので、少し戸惑った。
まず、司会も何もなく、説明もなく、いきなり合唱開始である。
合唱自体は素晴らしい。安心して聴いていられる。
しかし終わると、指揮者がいろいろと手を振り、舞台上のいろいろな人がそれぞれ礼をしだす。しまいには観客席から年配の方が一人、舞台に上がって花束をもらうという演出までされる(おそらく関係者なのだろう)。その間、観客である私たちは、ずっと拍手し続けている。いい加減、手が疲れるでしょ。
続く合奏も本当に素晴らしかった。ドヴォルザークの「新世界」である。ここでは「ドヴォジャーク」とチェコ語表記されていたので最初わからなかったが。
しかし、終わるとまた拍手ラッシュである。延々と手を打ち続ける。感動させてもらったので拍手したが、あまりに長すぎて、最後の方は疑問符が頭の中を駆け巡る。
司会者は満足そうな笑顔で、あちこちを手で差す。その先では生徒たちが頭を下げている。生徒たち一人一人としては、それぞれ自分に向けられた拍手だろう。しかし私たちには延々と続く拍手である。
こういうものなのだろうか、と疑問半分、納得半分。

しかし、一つ納得できないことがある。
結局初めから終わりまで、主催者側からの説明なり挨拶なりが、全くなかったことである。
あの舞台で花束をもらっていた初老の方は、いったい何だったのだろうか。

2012年10月17日水曜日

Terminator Salvation

邦題「ターミネーター4」

マックG監督による新シリーズ3部作の、第一弾として制作。
前3作はターミネーターが「未来からの刺客」であるのに対し、新シリーズはそのターミネーターが生産される「未来」が舞台。
映像技術の進歩が可能にしたのであろう。原作者であるジェームズ・キャメロンも、初めからこの未来世界について、もっと描きたかったのではないかと思う。「1」「2」とも、未来世界の描写はほんのわずかだった。

■観る前に
ちなみに、私はキャメロン監督が言っている「語るべきことは『2』で全て終わっている」に同意している。
「2」で全てのチップが破壊された時点で、それ以上の飛躍的な進歩は不可能だったはずだ。何より、「運命は決まっているわけではない」という「希望」が同作品のテーマだったはずだ。
だが、「3」でスカイネットの反乱が現実のものとなる。これはそんな「2」のバッドエンド的な後日談であり、「2」のテーマも作品自体も否定することになる。
私は「3」を殊更に嫌うことはしないが、以上のような理由から、「2」と「3」は相反する存在だと結論づけている。

ではなぜ「4」を観たかというと、「1」「2」の背景を見たかったからである。
「3」の存在の是非はともかくとして、未来世界について描いている「4」以降のシリーズは、「1」「2」の背景と理由を説明してほしい、と私は期待している。

というわけで「4」を観てみた。

■感想
良くできていると思った。
「2」の冒頭に出てくるジョン・コナーの顔のキズの原因がわかるし、レジスタンスのリーダーになっていく経緯、若き日のカイル・リースとの出会いなど、「ターミネーター」の背景となる部分を楽しむことができる。CGだがシュワルツェネッガーの登場も面白い。

■「違う未来」について
劇中、ジョンは「母から聞いているのと違う未来だ」というようなことを言う。私はこれについて、二つの解釈を持っている。

一つは、単純に考えて、当然そうであるべきだという解釈である。
なぜなら、母親であるサラ・コナーが、未来について詳しく知っていたはずがないからだ。サラは断片的な未来について語り、テープに録音して残しておいた。だからジョンが知らないことはたくさんある、と考えるのが妥当ではないか。
ジョンは自分がレジスタンスのリーダーとなってスカイネットと戦い、勝利に導くこと、そしてある時点で父親であるカイルを過去に送ること、を知っているだけなのだ。その経緯は、自身が順番に、体験していかなければならない。
運命論的な話になるが。

あるいは、こういう解釈もあると思う。
前3作において、スカイネットとレジスタンス、双方が戦士を過去に送り、歴史に介入したことで、歴史が変わった。元々のスカイネットのあり方も変わった。結果、スカイネットも多彩な戦術を持つようになった。
半人半機械のハイブリットであるマーカスの存在が、それを暗示しているようでもある。
ただ、人工皮膚を被せたターミネーターを造るより、ハイブリットを造る方が難しいような気もするが。
また、「4」の世界でスカイネットの暗殺候補の第一位が「カイル・リース」になっていることも、それを支持している。

■シリーズとして
今後の展開はある程度わかっている。
前3作と完全に整合するならば、ジョン率いるレジスタンスが優勢になっていく。そしてスカイネットはタイムマシンを開発して、ターミネーター(T800)を過去に送る。ジョンはカイルを過去に送る(「1」)。
続いてスカイネットがT1000を送るので、ジョンは今度はリプログラミングしたT800を送る(「2」)。
その後、ジョンが死に、スカイネットはTXを送る。ジョンの妻であるケイトが、リプログラミングしたT850を送る。(「3」)
今後、我々はその背景となるストーリーを追うことになると思われる。

ただ、現在の情報だと「5」の制作は白紙の状態らしい。
名作シリーズにふさわしい続編が作られることを期待するばかりである。

2012年10月13日土曜日

Source Code

邦題「ミッション:8ミニッツ」

プログラムで再現される8分間の「過去」を、繰り返し捜査させられる男の物語。

まず、設定があり得ないが、好きだ。
死者の脳神経に残る、死ぬ前の8分間の記憶。これを大量に集めて作り出されたプログラム上の現実世界。主人公はその中の人物に成り代わって「過去」の中で活動する。すでに起こった「過去」なので、基本的に同じことが、同じタイミングで起こる。同僚の初めの言葉、通りすがりの乗客がこぼすコーヒー・・・。しかし主人公の言動や行動に応じて、周囲は違った反応を示す。つまり、すでに起こった「過去」を、「変える」ことになる。
もちろん、プログラムの中での話だが。
ここが、この作品の矛盾点であるが、キモでもある。
単純に過去を再現したのなら、その中で自由に動くことはできないはずだ。
しかし、主人公はできる。
ということは、このプログラムは過去を再現するのでなく、過去という「現実世界」を作っていることになる。
そのプログラム内の過去を変えると、現実世界の過去も変わる。
科学者は、そんなことはあり得ない、と言うが。

整理するとこうだ。
⒈ある事件が起こる。
⒉それが起こる前の8分間をプログラムで作り出す。
⒊その8分間で犯人を特定し、事故を未然に防ぐ。
⒋その事件は、起こっていないことになる。

いわゆるタイムパラドックスみたいにな現象が起こるわけである。

プログラムを「タイムマシン」と呼べば、わかりやすくなるだろう。

もう一つの矛盾点は、主人公が成り代わった人物を、主人公が乗っ取ってしまうということだ。
ハッピーエンドに水をさすようだが、この結末でただ一人不幸なのは、主人公に成り代わられた、ショーンという教師であろう。

これは結末の、変形した鏡のようなオブジェに映る主人公の顔を見たらわかる。

さて、矛盾を指摘したが、私はこの作品が好きだ。
私なりの名場面が、いくつかある。

■名場面1
何度目かの捜査に失敗し、鉄道員に拘束される主人公。ミシェル・モナハン演じる同僚がそれに寄り添う。
主人公「うまくいくって言ってくれ」
同僚「うまくいくわ、きっと」
2人の向こうで起こる爆発。爆風が、2人をのみこんでいく。
もの哀しいが、希望を感じる。

■名場面2
最後の再現の最中、ケンカ別れした父と電話で話す主人公。
ここはお涙頂戴のシーンである。よくわかっている。わかっているが、ウルウルしてしまう。

■名場面3
最後の再現が終わると同時に、グッドウィン大尉がする行動。そして主人公にかける言葉。「退役、おめでとうございます」

どれも良いシーンだ。
映画は現実味が大事だと思う。が、名場面があれば、多少の矛盾や違和感は気にならなくなる。映画の魔法と言うべきか。

衝撃の銀座アップルストア

先日、1年ほど愛用しているiPhone4sのロックボタンが、自然に壊れた。
めり込んでしまって、押すことができなくなったのだ。
たかがロックボタン、と思っていた。
が、これが案外困った。

当たり前だが、ロックできない。
使い終わったらそのままにしておかなければならない。ポケットに入れる時などに、間違って何か押してしまいそうだ。
あと、滅多にしないが、再起動もできない。アクセシビリティを使えば、できなくはないのだろう。しかしどうも面倒臭くて、腰が引けてしまう。
知り合いのSoftBank店員にオフの時に聞くと、ロックボタンが壊れるのは「よくある」とのこと。

とりあえず近所のSoftBankに行ってみた。保障に入らなかったから、お金かかるかな、と思っていた。が、なんと1年以内の自然故障なら、無料でできるそうだ。しかも、新品との交換!
バッテリーの減りがゲキハヤだったので、これは嬉しいニュース。さっそくお願いしますと言いたいところだったが、アップルストアでなければできない、とのこと。しかも混んでいるから、HPで予約したほうがいいですよ、と薦められた。あと、バックアップもした方がいいと。そう言えば、最近していなかった。
そのまま直行したい気持ちを抑えて、いったん帰宅。久しぶりにiTunesで同期して、アップルのHPへ。教えられたページにアクセスする。結果、予約は最速で翌日の昼だった。ちょうど仕事が休みなので、予約ボタンをクリック。
すぐに、アップルから予約確認のメールが届く。この辺のサービスは、さすがだなと思った。

そういうわけで翌日、久しぶりの銀座へ。話題の東京駅も近い。帰りに行ってみよう。

アップルストアには、予約時間の10分前に着いた。
余談だが、私は約束とか、待ち合わせとかを厳守する方だ。(しかし友人が遅れる分には、別段怒ることもない。)
今まで銀座に行っても、アップルストアは素通りしていた。用事がなかったので。
そういうわけで銀座のアップルストア、初体験である。

ガラス張りの店内に入る。MacBookやiPad、iPhoneがズラリと展示されている。スタッフは全員青いTシャツ。皆一様に笑顔なのでちょっと気持ち悪い。
暇そうなスタッフに声を掛ける。サポートは4階だと教えてくれた。
「奥のエレベーターをお使い下さい」
奥のエレベーター?
見てもガラスの壁があるだけだ。右手に階段はある。
よくわからないまま、奥へ。
ちょうど、壁に向かって立っている男性がいる。壁を眺める趣味があるわけではないだろう。エレベーター待ちだと確信して、彼の後ろに立つ。
しばらく待つと、ガラスの向こうに黒い箱が降りてきた。そしてガラスが一部スライドする。なんか、カッコいいんですけど。
ワケもなく興奮しながらエレベーターの中へ。
4階だと聞いていたので、4の数字を押す。しかし、反応しない。何度か触れてみたが、どうもボタンではないようだ。周囲を見ても、操作パネルらしきものが見当たらない。
ど、どうしよう。
一緒に入った男性は微動だにしない。あとから何人か入ってくる。が、誰も何もしない。
これは何かワケがあるらしい。
ドキドキしながら様子を見ていると、ガラスのドアが勝手に閉まった。そして上昇し、2階で止まる。ドアが開く。そして閉まり、また上昇。

ようやくわかった。全自動の各階停止なのだ。

4の数字を何度も押して、いかにもバカではないか。
恥ずかしいなと思いながら、4階で降りる。

驚いたが、サポートルームは超満員だった。グループレッスンのブースなどもあり、活気がある。
しかしいくら混んでいても、こっちは予約者。すぐに対応してもらえる。・・・と思っていたが、待たされた。5分、10分、と時間が過ぎていく。
何のための予約だよ!
と内心突っ込む。
先に、友人が待ち合わせに遅れても怒ることはない、と書いた。しかし、こういう場合は話が違う。
そろそろ怒って注意しようかと思った。が、その矢先に担当者に声を掛けられた。
「お待たせして申し訳 ありません」とのことなので、怒り鎮静。

あとはスムースだった。症状を言ったら、簡単な確認と手続きだけで、真新しいiPhone4Sを手にすることができた。10分程度で済んだと思う。
帰りのエレベーターも、もう戸惑わない。って、当たり前か。
ちなみに写真は、帰りにエレベーター内を撮ったものだ。光っている数字のところが、私が何度も押してしまったところである。

2012年10月6日土曜日

Dark Knight Rises

邦題「ダークナイト・ライジング」

ペプシコーラのキャンペーンにダメもとでトライしてみたら、2回目で当選した。というわけでペアチケットが送られてきたので、夫婦で鑑賞。

久しぶりの劇場鑑賞。上映開始から1ヶ月以上たっていたせいか、ほぼ貸し切り状態。3時間に及ぶ上映だが、まったく飽きなかった。

一言で言うと「圧巻」。
「伝説が壮絶に終わる」というコピーだが、あの結末は「伝説の始まり」ではないだろうか。
前作「ダークナイト」ではトゥーフェイスがサプライズ登場したので、今回は誰だろうと期待していた。こちらもビックリ。ただ、さりげないので、わかりづらいかも。

■あらすじ
「ダークナイト」の結末、デントの罪を被ったバットマン(ブルース)は、引退し、人目を避けて隠遁生活を送っている。あの転落で片脚を悪くし、杖に頼って歩く有様。
ある夜、メイドを装って屋敷に侵入したキャットウーマンに、母の形見のネックレスを盗られる。調べると、彼女の背後には圧倒的な力と組織を持つベインがいた。
ブルースはバットマンとして復帰するが、ベインに返り討ちに合う。財産を奪われ、背骨に大きなダメージを受けた挙句、とある国の地下牢に幽閉されてしまう。アルフレッドはすでに去っている。ブルースは孤立無援の地下牢の中、モニター越しにゴッサムの破滅を見せられることになる。

■雑感
とにかく前半のブルースがダメダメである。これでもかというほど惨めである。この役ならシルベスタ・スタローンがよく似合うかな、と思った。しかしここはクリスチャン・ベイル。不屈の闘志と高潔さを感じさせる眼差しは、やはりバットマンにふさわしいだろう。
後半、地道にトレーニングを積んで地下牢の内壁を登り始めるあたりから、原題 Dark Knight Rises の意味が見えてくる。

構成のうまさにも驚かされる。
ブルース不在の間、ゴッサムでは新任刑事のブレイクが活躍する。彼はいったい何者なのか? バットマンの正体に勘付いており、その身の潔白も信じている。誰にも媚びず、正義のために行動する。どこかブルースに似ている。そしてバットマンに代わって、ゴッサムで正義のために戦う。
そのブレイクの正体が、最後にわかる。「あ、なるほど」と唸らせられた。

監督のクリストファー・ノーランがどんな人物かよく知らないが、同じ俳優を好んで使うタイプかな、と思う。
「インセプション」の顔ぶれが目立つ。「バットマン ビギンズ」の渡辺謙も「インセプション」に出ていたし。
ちなみに「インセプション」のディカプリオの奥さん役が、本作でも重要な役で出ている。

スケアクロウも登場してくれて嬉しかった。演じるキリアン・マーフィは私の好きな俳優の1人である。「サンシャイン2057」で主人公だったのを最近知って驚いた。脇役専門だと思っていたもので。

ベイン役のトム・ハーディは一体どうしたのか。まったく面影がない。言われなければ同氏だとはわからなかっただろう。いや、言われてもわからないか。まったくの別人である。
悪の権化みたいに登場するが、最後は憎めない一面も見せる。

アン・ハサウェイ演じるキャットウーマンは、やはりルパン3世の不二子のような役回りになるのが、妥当だっただろう。ブルースを何度も裏切るが、最後は助ける。

ラストは恥かしながら、ウルウルしてしまった。ブルースの最後の選択に始まり、フォックスに知らされる事実、アルフレッドの夢の実現、そしてブレイクの発見。怒涛のクライマックスである。いつものBGMも合間って、もう完璧にやられてしまった。

これで終わりなのだろうか。終わってほしいような、ほしくないような。
下手に続けるよりは、これで終わるのが良いのかもしれない。