Terminator Salvation

2012年10月17日水曜日

映画評

t f B! P L
邦題「ターミネーター4」

マックG監督による新シリーズ3部作の、第一弾として制作。
前3作はターミネーターが「未来からの刺客」であるのに対し、新シリーズはそのターミネーターが生産される「未来」が舞台。
映像技術の進歩が可能にしたのであろう。原作者であるジェームズ・キャメロンも、初めからこの未来世界について、もっと描きたかったのではないかと思う。「1」「2」とも、未来世界の描写はほんのわずかだった。

■観る前に
ちなみに、私はキャメロン監督が言っている「語るべきことは『2』で全て終わっている」に同意している。
「2」で全てのチップが破壊された時点で、それ以上の飛躍的な進歩は不可能だったはずだ。何より、「運命は決まっているわけではない」という「希望」が同作品のテーマだったはずだ。
だが、「3」でスカイネットの反乱が現実のものとなる。これはそんな「2」のバッドエンド的な後日談であり、「2」のテーマも作品自体も否定することになる。
私は「3」を殊更に嫌うことはしないが、以上のような理由から、「2」と「3」は相反する存在だと結論づけている。

ではなぜ「4」を観たかというと、「1」「2」の背景を見たかったからである。
「3」の存在の是非はともかくとして、未来世界について描いている「4」以降のシリーズは、「1」「2」の背景と理由を説明してほしい、と私は期待している。

というわけで「4」を観てみた。

■感想
良くできていると思った。
「2」の冒頭に出てくるジョン・コナーの顔のキズの原因がわかるし、レジスタンスのリーダーになっていく経緯、若き日のカイル・リースとの出会いなど、「ターミネーター」の背景となる部分を楽しむことができる。CGだがシュワルツェネッガーの登場も面白い。

■「違う未来」について
劇中、ジョンは「母から聞いているのと違う未来だ」というようなことを言う。私はこれについて、二つの解釈を持っている。

一つは、単純に考えて、当然そうであるべきだという解釈である。
なぜなら、母親であるサラ・コナーが、未来について詳しく知っていたはずがないからだ。サラは断片的な未来について語り、テープに録音して残しておいた。だからジョンが知らないことはたくさんある、と考えるのが妥当ではないか。
ジョンは自分がレジスタンスのリーダーとなってスカイネットと戦い、勝利に導くこと、そしてある時点で父親であるカイルを過去に送ること、を知っているだけなのだ。その経緯は、自身が順番に、体験していかなければならない。
運命論的な話になるが。

あるいは、こういう解釈もあると思う。
前3作において、スカイネットとレジスタンス、双方が戦士を過去に送り、歴史に介入したことで、歴史が変わった。元々のスカイネットのあり方も変わった。結果、スカイネットも多彩な戦術を持つようになった。
半人半機械のハイブリットであるマーカスの存在が、それを暗示しているようでもある。
ただ、人工皮膚を被せたターミネーターを造るより、ハイブリットを造る方が難しいような気もするが。
また、「4」の世界でスカイネットの暗殺候補の第一位が「カイル・リース」になっていることも、それを支持している。

■シリーズとして
今後の展開はある程度わかっている。
前3作と完全に整合するならば、ジョン率いるレジスタンスが優勢になっていく。そしてスカイネットはタイムマシンを開発して、ターミネーター(T800)を過去に送る。ジョンはカイルを過去に送る(「1」)。
続いてスカイネットがT1000を送るので、ジョンは今度はリプログラミングしたT800を送る(「2」)。
その後、ジョンが死に、スカイネットはTXを送る。ジョンの妻であるケイトが、リプログラミングしたT850を送る。(「3」)
今後、我々はその背景となるストーリーを追うことになると思われる。

ただ、現在の情報だと「5」の制作は白紙の状態らしい。
名作シリーズにふさわしい続編が作られることを期待するばかりである。

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