預言は今もあるのか問題

2018年6月22日金曜日

「預言」に関する問題

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預言は今もあるのか問題

 現代キリスト教界で議論になっている問題の一つに、「預言は今もあるのか」というのがあると思います。

 皆さんは「今も預言はある(ありえる)」とお考えでしょうか。
 あるいは「もう預言は語られない」とお考えでしょうか。
 預言「ある派」か、「ない派」か。

 ある派の根拠は「今は聖霊の時代だから」というものです。聖霊が自由に働いているだから、「異言」だって「預言」だって自由に語られるのだ、と。

 ない派の根拠はこれです。「終末に至るまでの預言がすでに語られ終わっている(聖書にまとめられている)のに、さらに追加で語られるのはおかしい」

 なかなか悩ましい問題ですね。 神様は何だってできるのだから、いつ誰に「預言」を語らせることも可能だ、と考えるなら「ある派」になります。でも聖書を完璧な(完結した)神の啓示と考えるなら、もうこれ以上語られる必要はないのですから「ない派」になります。

現代的「預言」の弊害

 だた現実的な問題として、おかしな「預言」で人生を左右されてしまう人々がいます。

 たとえば知り合いのクリスチャン2世は高校3年の時、教会で「あなたが◯◯大学で勉強している姿が見える」と言われて、大いに悩んだそうです。結局◯◯大学には行かなかったのですが、他にも教会からあれこれ言われて、ずいぶん生きづらそうでした。

 またある人は「あなたはゴスペルを歌って芸能界に進出するよう召されている」と語られて、本気にしてしまいました。それで仕事を辞めてレッスンに明け暮れたのですが、結局芸能界デビューには至らず(語った方に言わせれば「努力が足りない」ということだったらしいですが怒)。
 その人は今は別の仕事をしていますが、多くを犠牲にしてしまったな、と思わずにいられません。

 そういう被害を考えると、その真偽はともかく、「預言」なんて下手に語られない方が安全だと思いますね。

想定内の預言①

 そういう有害なものでなくても、私が教会で見聞きしてきた預言は、だいたいこんな感じでした。

 ある人はこう預言されます。
「あなたが神様と一緒にダンスしているのが見えます」
 またある人はこうです。
「あなたはデボラのような、偉大な女性です」
 あるいはこう言われる人もいます。
「あなたはダビデのような勇者です」

 どれも「あー確かに」と納得できるような「預言」でした。
 と言うのは、ダンス云々を言われるのは見るからに陽気な女性だったし、デボラと言われるのは芯の強そうな女性だったし、ダビデと言われるのは精悍な若い男性だったからです。

 つまり、どれもさほど不思議な「預言」ではなかったのです。むしろ妥当な感じでした。ちょっと考えればわかるような。
 これをもって「今も預言者はいる」と言うことは、ちょっとできないのではないでしょうか。

想定内の預言②

「でもパウロの時代も預言者がいましたよね」
 という意見もあると思います。新約聖書の多くの書簡を書いたパウロの時代に預言者がいたのだから、それはほとんど、聖書が完成した後でも預言者が現れることの証拠じゃないか、というわけです。

 でも、使徒行伝に登場する「預言者」が本物だとは限りません。
 ちょっと使徒行伝をみてみましょう。21章11節には、こういう記述があります。

パウロの帯を取り、それで自分の手足を縛って言った、「聖霊がこうお告げになっている、『この帯の持ち主を、ユダヤ人たちがエルサレムでこのように縛って、異邦人の手に渡すであろう』」

 エルサレムに戻ろうとするパウロに、ある預言者が警告を発する場面です。このままパウロがエルサレムに戻れば、ユダヤ人たちに捕まって、ローマに引き渡されるだろう、という警告の「預言」です。
 結果、言葉通りのことが起こってしまいます。パウロはエルサレムで捕らえられ、ローマの裁判を受けることになります。

 ではこの「預言」は、正しいのでしょうか。正しい可能性はあります。でも当時のパウロの状況を考えれば、これは容易に想像できた内容でもあります。パウロはそれまで何度も捕まりかかったのですから。

 これは現代で言えば、明るく元気な人をつかまえて「神様と一緒にダンスしているのが見えます」と言うのと、そんなに変わらない話じゃないでしょうか。見ればわかる、考えればわかる、ということなのですから。

 それに百歩譲って本物の「預言」だったとしても、容易に想像できることであるのなら、わざわざ「預言」してもらう必要がない気がします。少なくともそれで神の「全知全能」を証明することにはなりませんよね。むしろ逆に、「想定内のことしか言えないのか」という誹りを受けるかもしれません。

☆ ☆ ☆

 さて、この「預言は今もあるのか問題」を、皆さんはどう考えるでしょうか。
 ぜひいろいろご意見お聞かせ下さいませ。
→6月17日のメルマガにて、更に詳しく書いています

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