判断に困ったときの対処法

2018年1月3日水曜日

キリスト教系時事 生き方

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トランプ米大統領の評価の変遷(あるいは逆転)

 2年半くらい前でしょうか。米大統領選挙の候補として、トランプ氏がメデイアに華々しく登場しました。歯に絹着せぬ発言、下品なジョーク、大胆な政策など、良くも悪くも話題になりました。

 こんな下品な、酷い人間が大統領に選ばれるはずがない、と多くの人が思ったでしょう。私も不快感を覚えました。ある原理主義的教会の牧師も、ブログ上で「彼には要注意だ」みたいなことを言っていました。いかにも事情通といった口調で。

 そんなトランプ氏ですが、ご存知の通り、大方の予想に反して大統領になりました。衝撃が走りました。アメリカは、世界はどうなってしまうのだろう、と(一方で、彼に期待した人も多かったと思います)。でも結果的には、いろいろ問題はあるものの、とんでもなく常軌を逸した事態にはなっていません。彼一人では世界はどうにもならなかった、ということでしょうか。

 そして昨年末、トランプ米大統領がエルサレムをイスラエルの首都に認定するとの声明を出しました(それに関する記事はこちら)。この声明そのものは、歴代の大統領が先延ばしにしてきた事案を、ただ実行に移しただけです。トランプさんの勝手な思いつきや気まぐれではありませんでした(もちろん政治的な思惑があってのことだと思います)。

 でもこの声明をみて、「トランプ米大統領は立派だ」「イスラエルを祝福する者だ」みたいなことを言い出す人がいました。ユダヤ主義を自認する人たちです。ついにエルサレムがイスラエルのものになった、これは神の御心だ、と喜んだわけです。でも、あれ、「彼には要注意だ」って言ってませんでしたっけ?

 なんか言うことがコロコロ変わるなあと、半ば呆れながら私は思ったのでした。

白か黒かでなく、保留という選択肢

 世界情勢、とりわけ中東情勢に動きがあるとすぐ、「これは◯◯の預言の成就だ」などと言い出す人たちがいますが、結論を急ぎすぎです。過去に同じような失敗をした人たちが少なからずいるのですから、そういう事例から学んだらどうかと思います。
 でないと「軽率」と言われれても仕方ありません。

  世の中の物事は、生きていれば分かるはずですけれど、ハッキリ白黒つけられるものばかりではありません。むしろ明確に分けられないものの方が多いはずです。あるいは初めは白っぽく見えていたものが、気づくと黒くなっていた、なんてこともあります。その反対もあります。

 聖書にも「先に訴え出るものは正しいように見える」(箴言18章17節)と書かれています。要は、皆の話を聞いて、必要な情報を揃えないと、公平に判断できない、ということです。
 判断を急ぎすぎると、大抵ロクなことになりません。そういう経験、誰にもあるのではないでしょうか。 

 だから私がお勧めするのは、何でもかんでもすぐに白黒決めるのでなく、「とりあえず保留」という選択です。と言っても、判断を避けて先延ばしにするという意味ではありません。より公平に、より思慮深く判断するため、少し様子を見る、という意味です。
 これこそ知恵のある行為だと、私は思います。

  もっとも、それだけ待つ余裕があるならば、という話ですが。

『スターウォーズ:最後のジェダイ』の裏切り

 余談ですが、現在公開中の映画『スターウォーズ:最後のジェダイ』をご覧になりましたか。
 この映画は「今までのスターウォーズを裏切る作品だ」みたいに言われていますが(諸説あります)、私はその通りだと思いました。ネタバレしませんが、「光か、闇か」という勧善懲悪っぽいコピーをも裏切って、光と闇では分けられない、人間心理の複雑さを描いているからです。


 今までの『スターウォーズ』は(私はさほど詳しいわけではありませんが)、善と悪がわかりやすく切り分けられていました。ほとんど完全なる勧善懲悪モノだったと思います。でも今作は、「悪人」だと思っていた人物が、実は「自分なりの正義」に従って行動しているだけ、という意外な展開を見せます。また「善人」だと思われていた人物が、過去にとんでもない悪事をやらかしています。つまり、誰が善で誰が悪なのかよくわからない、という感じです。
それが、今までの『スターウォーズ』との決定的な違い(あるいは裏切り)だと私は思いました。

 あ、もちろん映画の感想は人それぞれでいいと思いますが。

「とりあえず保留」の勧め

 この「とりあえず保留」は世界情勢や政治情勢だけでなく、日常のいろいろな場面で活用できます。 
 私たちは毎日のように何かの判断をしています。小さい判断も大きい判断もあります。その判断の時、怒っていたり焦っていたり、忙しかったり鬱っぽかったり、疲れていたりストレスフルだったりすると、咄嗟におかしな方を選んでしまうことがあります。それで失敗することも少なくありません。

 だからそういう自分自身のコンディションに注意しつつ、「あー今は冷静な判断ができないな」とか、「まだ判断するには情報が足りないな」とか、できるだけ判断を保留にするのをお勧めします。

 もちろん、遅かれ早かれ判断すべき時がきます。
 でも「とりあえず保留」してきたなら、「できるだけ熟慮した」「できるだけ情報を集めた」と自信を持つことができます。そして少なくとも「その時における最善の選択」ができます。
 最善を尽くしたなら、後悔も少ないでしょう。
 早急に物事を決めつけて「軽率」と言われるより、その方がずっと良いと私は思います。

 というわけで、「とりあえず保留」の勧めでした。

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