All you need is kill【映画版】の感想(少しネタバレ)

2014年6月26日木曜日

映画評

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 All you need is kill【映画版】の感想。今回はできるだけネタバレしないように書きたい。
 ちなみに【原作版】のネタバレ感想はこちらから。

■初の試写会
ぴあ映画生活」で試写会チケットをもらえたので、一般公開にさきがけて本作を鑑賞してきた。
 会場は神保町駅から徒歩5分の一ツ橋ホール。試写会に参加するのは初めてで、小規模なスペースでやるのかなと思っていたけれど、行ってみたら300人規模のホールだった。案内のハガキには身体検査するかもとか書いてあったけれど、全然ノーチェック。18時の開場に少し遅れて行ったら、すでにほぼ満員だった。


■総合的には・・・SFコメディ
 面白い。原作をうまくふくらませている。SFアクション+コメディ+少々恋愛と言ったところ。
 監督が『ボーン・アイデンティティ』のダグ・ライマンだから、シリアスでリアル志向かと思いきや、意外にもコメディ映画である。原作からだいぶ改変されているけれど、私はこっちの方が好き。

■原作との違い
・舞台が日本の房総半島から、ロンドンとパリになっている。ただしロンドンの基地では、けっこう日本語が聞こえてくる。
・主人公は志願兵でなくワケありの脱走兵。
・エイリアン(ギタイ)の外見が樽型からタコ型(?)になっている。
・ギタイのサーバーとかバックアップとかアンテナとかの設定がない。代わりに「アルファ」「オメガ」というタイプがいる。
・ループによる主人公のスキルアップの様子が、原作より存分に楽しめる(ここポイント)。
・後半のストーリーはまったく違う。舞台はビーチ以外が多くなる。
・原作のキャラは主人公(ケイジ)とリタ、ファレウ軍曹以外登場しない。
・その他にもいろいろ。

■見どころ
タイムループの優越感
 主人公ケイジ役のトム・クルーズはいつも強いヒーローばかり演じるけれど、本作では当初「戦いたくない」「指を切っただけでも失神してしまう」ほどの弱虫である。それが無理矢理出撃させられ、右も左もわからぬまま戦場をさまよい、敢えなく戦死。トム・クルーズに似合わない醜態を見られる。
 けれど逃れられないループに巻き込まれていると知り、勇敢に戦うリタとの出会いもあって、戦う覚悟を決める。そして何度死んでもやり直せるゲーム感覚で、あれこれ試行錯誤していく。その成長過程が見ていて楽しい。笑いの要素も多い。
 ループを重ねれば重ねるほど、ケイジだけが知る情報が増える訳で、それが起こす周囲とのギャップは本作の見所の一つだ。
 また面白いのは、当初はどうやって敵に勝利するか、どうやってループから抜け出すかが目的だった
ケイジが、最後はどうやってリタを生き残らせるかの方を優先している点だ。
 だからあるシーンでは、ケイジはリタにコーヒーを勧めたり、べつの話を持ち出したりして、なんとか彼女に「ある行動」をさせようとする。実はそれは何度も試行錯誤した後の話で、戦う限り、リタはどうやってもそこで死んでしまうのだった。つまりそこに至るまで、ケイジは敵を倒すことでなく、リタを生かしたまま敵を倒す手段を何度も模索していたことになる。これは私たち観客をも相手にしたループの優越感である。
 少しネタバレになってしまうが、私が一番痺れたのは、リタを生かすために「初めからあえて彼女に声をかけない」選択肢を選ぶところだ。このループではケイジは一人で戦いに行く。なんとも切なく、格好いいシーンだ。

・現実↔ループ(少しネタバレ)
 ループの最中、ケイジはいわば無敵の存在だ。何度失敗してもやり直せるからだ。その「捨て身のスキルアップ」は本作の見所の一つだとすでに書いた。けれど後半、ある事情から、ケイジはこのループから抜け出してしまう。するともう死ねない。最終決戦は予測不能、やり直しの効かない一発勝負となる。この現実、ループ、また現実という転換が生み出す心境の変化も面白い。

・結末
 原作の結末だと、結局リタは死ななければならず、ケイジの戦いはまだまだ続いていく。映画版は後半から原作を離れていくけれど、この2点については、最後までどうなるかわからない。これは是非、劇場で確かめていただきたいと思う。
 また最後の最後に「どんでん返し」的な展開が待っている。これをどう取るかは意見が割れそうだ。私は良くも悪くもいかにもハリウッド的だなと思った。原作の桜坂洋氏がどう思われたのか、是非聞いてみたいところだ。

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