以前、「非常勤ではいけないのか」という記事の中で、常勤と非常勤という働き方について私感を書いた。
あれから半年以上たつけれど、その間いろいろ思うことがあったので、特に「退職金」について追記してみたいと思う(先に断わっておくと、これは非常勤という働き方を勧めるものではない)。
また、ここでは「非常勤」という形態全般についてというより、月120時間以上勤務する、いわゆる「パート」と呼ばれる形態について書いている。そして120時間というのは、社会保険に加入可能となるラインであり、職場によっては賞与対象ともなるラインだ。だからアルバイトも派遣社員も非常勤職員であるのは間違いないけれど、それらとはちょっと事情の異なる話になると思う。
■退職金について
パート職員は基本的に、賞与規定はあっても(ない場合もある)退職金規定はない。これは常勤職員に比べて大きなデメリットであろう。常勤職員と同じ歳月、同じような内容で働いたとしても、パートだと一円ももらえない。これは若干不公平にも感じるけれど、まあ初めからそういう契約なのだから仕方がない。
もちろん短い勤続期間であれば、退職金などタカが知れている。けれど、例えば私が見てきた民間のいくつかの退職金規定を参照してみると、20年勤続で少なくとも300万円は越えている。そしてそれ以上の勤続になると取得率は上昇し、40年勤続で1000万円を越える。ちなみに定年退職した公務員の退職金平均は、2000万円を越えているようだ(平成24年度のデータ)。
退職金には老後の備えという意味もあるだろうから、これがあるとないとでは、大きく違う(もっとも、自営業等においても退職金はないと思うけれど)。
しかし退職金の額は、業界や業態によって様々だろう。上記の数字はあくまで一例であり、まったくこれに及ばないこともある。実際、ある企業などは、仮に40年間勤務したとしても退職金は300万円に満たない。退職金規定そのものがない会社も存在するらしい。
だから常勤職員になる時は、給与額の他に退職金についてもちゃんと納得しておいた方がいいと思う。
では、退職金規定のないパート職員はどうしたらいいだろうか。これはあくまで私の意見だけれど、毎月自分で積み立てていくしかないと思う。たとえば月に1万円ずつ貯めていくと、20年で240万円。2万円ずつ貯めると420万円。もちろん普通に常勤で働けば、そんな積立などしなくても、それ以上の退職金がもらえる可能性が高いのだけれど(もちろん積み立てなどしないという選択肢もある)。
じゃあパートは絶対的に不利かというと、そうとも限らないと私は思う。常勤には「副業禁止」規定があるのが一般的だけれど、パートには(基本的に)そういう規定はないからだ。それを利用して、複数の仕事を掛け持つことができる。
もちろん仕事の掛け持ちは大変だけれど、これは場合によっては、常勤を凌ぐ収入が得られることがある。次の条件に当てはまるなら、その可能性が高い。
①一般的な仕事の時給に比べて、高時給であること(どうしても専門分野になるだろう)。
②週1回などの少ない勤務日数でも認めれられること。
③1回の勤務を長時間にできること。
④それでも適度に休日を取れること。
①はまあ当たり前の話だ。時給が高ければ給料も高くなる。しかしこれは多くの場合、何らかの資格が必要になると思う。
②は掛け持ちにおいて必須条件だろう。1週間は7日間しかないので、2つか3つの仕事をしようと思ったら、それぞれの仕事に割ける時間は当然少なくなる。普通は「週1回しか働けないなら要らないよ」と言われることが多いかもしれないけれど。
③はけっこうポイントが高い。長時間働けば給料が増えるのは当たり前だけれど、8時間以降の勤務は、時給が25%増しになるからだ。だから10時間働くと、そのうち2時間は時給が25%増しになる。たかだか25%と馬鹿にしてはいけない。塵も積もれば山となる。
④も重要だ。人間、やはり休まねばならない。10連勤とか20連勤とか、それ以上のあり得ないくらいの連続勤務の話も聞くけれど、それだと心身の健康を損なう恐れが高い。パート、アルバイトの場合、働けば働くほど給料が増えるから、どうしても働きたくなる。けれど、ある程度のところで見切りをつけ、ゆっくり休む方がよっぽど良いと思う。なぜなら掛け持ち勤務そのものが、普通に常勤で働くより、基本的に多く働くことになるからだ。
これらの条件を満たす複数の仕事をうまく掛け持ちして、たとえば月に計230~240時間前後働くと(それでも最低週1日は休むのが前提だが)、自分と同年代の常勤よりも、多い給与を得られるかもしれない。
もちろん諸事情あってうまくいかないこともあるだろうから、あくまで可能性の話なのだけれど。
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