「霊的」にご用心

2019年12月29日日曜日

「霊性」問題

t f B! P L
 いろいろ議論して結局同意が得られないと、相手にこんなふうに言うクリスチャンがいる。

あなたは内住の聖霊がいないので霊を見極めることができない。だから分からないんだ

 単に意見が合わなかっただけじゃないの? と思うけど、どうやら、

自分の意見=霊的
相手の意見=俗的

 と信じて疑わないようだ。 その根拠や自信がどこからくるのか知らないけれど。

 ちなみにわたしは聖霊派教会で頑張っていた頃、めちゃ「霊的な人」で通ってた。
「異言」を語れば「預言」も語る。きよい雰囲気で、勿体ぶって祈る。難しい言葉を並べ立てる。霊的なことをガンガン見極めて、聖と俗を判別してる気満々だった。

しかしそんなわたしが長年カルトな教会にいたのだから、結局「霊を見分ける」賜物なんてなかった。今思い返すと笑っちゃう。何でもわかった振りして、実は何もわかっちゃいない、その馬鹿さ加減が。

 霊的にどうこうって、口で大きなことを言うのは簡単。問題は現実的にどうなんだってこと。
 たとえば「霊を見分けられる」として、だから何? それでリアルにどうなるの? って部分が大事。みんなこの現実世界に生きてるのだから。しかし大抵、その一番大事な部分が全然見えてこない。

 わたし自身の例からわかる通り「霊的云々」には嘘とかインチキとかが混ざってる。残念ながら。「うちは嘘なんかじゃない」と言いたいのはわかるけど、嘘じゃないってどうやって証明するの? 本当であることも証明できないのに?

「あなたは霊的でないからわからない」では何の説明にもならない。

 どこの教派とか教会とかの話でなく、「霊的」はのめり込むと大変なことになる。
 ものすごく極端な例だけど、「ベルリンの壁が崩壊したのは◯◯さんが霊的に祈ったからだ」という話があって、その手の教会では真面目に信じられていた。「言ったもん勝ち」な要素がある。何とでも言えるから。

 実を言うと、今日、某国から日本に向けてミサイルが発射されたんです。しかし、わたしが霊の領域で即座に危機を察知し、主に祈ったからもう大丈夫です。危機は回避されました。ミサイルは奇跡的に軌道が逸れて、日本海に落ちました。これは政府の機密事項なのでどこを調べても出てきません。主とわたしだけが知る霊的事実です。こうして守られた日本には、主の大いなる計画があるのです。ハレルヤ!

 と言ったら、皆さん信じる? もちろんこれは冗談。しかし一部の「霊的」クリスチャンの言うことは、これと大差ない。

 たとえば深夜に突然Aさんの危機を示されたから必死でとりなして祈りましたとか、Bさんの問題が解決したのはわたしがとりなして祈ったからですとか、AさんやBさんからしたらまったく身に覚えのない話だけど、とりあえず感謝しなきゃいけない、みたいなのはけっこう聞く。

 ヨハネの第一の手紙4章に「多くのにせ預言者が世に出てきている」(口語訳)と書かれていることを、みんな心に留めるべきだと思う。
「霊的」にご用心。

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