【時事】悔い改め・牧師への信頼度・中国の宗教事情

2015年11月2日月曜日

キリスト教系時事

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■悔い改めって何

 以下の記事をみてどう思われるでしょうか。

「コン・ヒー牧師、有罪判決後の礼拝で涙の謝罪」

 なんだかなあ、と私は思いました。
 良い点から言えば、会衆の前に(逃げずに)出てきて謝罪したことでしょうか。悪事を働いていおいてとぼける、逃げる、謝らない牧師が少なくない昨今、コン・ヒーはとりあえず謝罪したわけですから、まあ良かったと言えるかもしれません。もっとも、だからと言って評価されるわけではありません。謝罪は当然だからです。それすらできない牧師が多いので、「謝罪した」ことが好印象に映るかもしれませんが。

 次に悪い点を言えば、まず礼拝を謝罪の場に置き換えてしまったことです。主任牧師のこととは言え私事であって、礼拝の場に持ち込むべきではありません。なぜなら個人的な謝罪(和解)と礼拝を、聖書は明確に分けて考えているからです(マタイの福音書5章23~24節)。
 また、大勢の前で涙を流して謝るのは、はっきり言って誰にでもできます。特に長年会衆にメッセージしてきた牧師なら、喜怒哀楽を現して雰囲気をコントロールするのは難しいことではありません。邪推しすぎだと言われるかもしれませんが、「悔い改め」とは単に不特定多数の前で謝意を表すことではありません。関係者個人(この場合は数千人から数万人になるでしょうが)に直接、何度でも謝罪し、被害について何年かかっても補償し、そういうことを誠実に続けることがいわゆる「悔い改めの実」なわけです。全体に向かって一度謝る、というのはプロセスの一部として必要ですが、それで終わりだとしたら完全なる不誠実です。だとしたら、今回の涙は演技ということになります。

■牧師への信頼度は

 大変興味深い記事がありました。

「韓国で宗教への信頼度が急落」(CJC通信)

 韓国国内のようですが、宗教別の信頼度はカトリック39.8%、仏教32.8%、プロテスタント10.2%とのこと。
 これはたぶん、宗教というよりむしろ聖職者への信頼度なのではないかと思います。そして明らかに足を引っ張っているのが牧師と呼ばれる人たちなのは、韓国だけの話ではないでしょう。日本でも同様の調査があるかどうかわかりませんが、たぶん同じような結果になる気がします(あるいは日本ではカトリックとプロテスタントの違いさえ認識されずゴチャ混ぜにされるかもしれませんが)。

 これは宗教別の歴史の長さ・深さも関係しているかもしれません。その意味では仏教、カトリックに比べてプロテスタントが不利なのは間違いありません。けれどそれで全てを説明することもできないでしょう。

 この結果を受けてプロテスタントの牧師がまた、「一般人には真理はわからない(エッヘン)」とか言い出してしまうと、話は一歩も前に進まない訳です。そもそも彼らが伝道、宣教すべき相手は一部のメンヘラ(おっと失礼)ではなく、一般人なのです。その一般人が自分たちについてどう思っているかは非常に重要なはずで、それに敵対していたら何も進まないのです。


■中国の宗教事情

 最後に記事紹介。

「ローマ法王もたじろく「反キリスト」中国の教会弾圧」(Newsweek日本版)

 欧米の侵略を防ぐという意味で始まった中国の宗教弾圧と、その反動として生まれた地下教会、そして今も続くローマ法王と中国の微妙な(敵対)関係について書かれていて、興味深いです。

 ちなみに地下教会の実情はあまり知りませんが、地下教会との繋がりをやたら強調する日本のプロテスタント牧師がいるので注意が必要です。すなわち自分は中国の地下教会と連絡を取り合っていて、メールは暗号にしているとか、この前公安の捜査が入ってピンチだったけれどなんとか回避したとか、今相当ヤバい状況(何がどうヤバいのかという説明は一切ありません)だから徹夜で祈ってくれとか、どこまで本当なのかわからない話が次々と出てきて、信徒をいたづらに恐れさせ、あるいは国際的なスパイ活動の片棒を担いでいるみたいなスリルを味わわせる訳です。

 それがもし一部でも嘘であるとしたら、中国で必死な思いで地下教会活動をしている人々にとって大変失礼な話でしょう。そういう笑えない冗談は本当にやめてほしいと私は強く願っています。

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