ところで「就職はギャンブルみたいなものだ」という意見を聞いたことがある。私はそれに同意する。就職先の場所や条件や業務内容はもちろん事前にわかるけれど、その職場について面接ではわからないことが沢山ある。そして実際に働くうえで重要な情報というのは、面接の場では決してわからない。そしてその重要な情報の中心にあるのは、一にも二にも「人間関係」だ。一緒に働く人々を選べない、それが就職における最大のネックだと私は思う。
そういう意味で、就職とはギャンブルみたいなものなのだ。
もちろん、どこに行っても相性の合う合わないはある訳で、人間関係には一定の忍耐が必要になる。そういう忍耐を学ぶことも大切だ。それを通して人間の器が広がるという側面もある。そういう意味で、苦手な人と一緒に何かをするという経験は、決して無駄ではない。
しかし同時に言えるのは、忍耐にも限度がある、ということだ。極端な例だけれど、入社した会社で連日酷いイジメに遭ったり、明らかに不当な扱いを受けたりするとしたら、それをただひたすら忍耐するべきではないだろう。精神衛生的にも良くない。
そういうギャンブル的要素があるから、就職は簡単ではない。かと言って何らかの対策ができる訳でもない。おそらく最終的には「当たって砕けろ」的な心境で臨む以外にない。
仕事のことでただ一つ、私が経験的に言えるとしたら、それは長期間同じことを続けられるのは一つの才能だ、ということだ。一つの職場で長くやっていくことは、案外難しい。いろいろ困難もあるし、不当に思えることもある。「もうやってられない」と強く思うこともある。しかしそういう酸いも甘いも全て受け入れ、長く同じスタンスで同じことを続けたからこそ、見えてくる風景もある。
よく啓発本などで、いろいろな「成功法則」が紹介されている。それらの真偽はわからないけれど、私が単純に信じている成功法則は「継続すること」だ。どんな成功にも良い結果にも、その背後には地道で継続的な努力がある。楽して達成できるものには、さほど価値がないことが多い。
日々の些細な出来事に一喜一憂するより、おおらかにじっくり構えて自分の仕事に集中するのが良い。どうしても耐え難いと思ったら無理する必要はないけれど、感情任せの急な判断はせず、とりあえず続けてみたらどうなるか、少し様子を見てみたらどうかと私は思う。
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