この作品はゾンビものとしては非常に見やすく、荒唐無稽な中にも科学的な説得力があり、終末的雰囲気よりもポジティブな面が強調された、珍しい一本だと思う。
すでに観ているので、今回は余裕をもって、細かいところに注意して鑑賞できたと思う。その中で一つ取り上げたいのは、主人公ブラット・ピットに指示を出す、軍隊の司令官の言葉だ。
「使命のない者に居場所はない」
彼らは、陸から完全に離れた空母にいる。そこは唯一安全と思われる場所であり、軍隊の作戦本部であり、同時に民間人たちの避難場所でもある。だから誰もがそこに居たいのだけれど、避難民たちは次々と別の場所に移されていく。そしてブラット・ピットにしても、軍事作戦に協力しないなら家族もろとも下船させられる、という状況にある。そんな時に司令官から発せられたのが、上記の言葉だ。
これは至極ごもっともな言葉であろう。空母のスペースにも食料にも限度があるし、それらは本来、軍隊の為に用意されているものだからだ。軍隊か、あるいはそれに協力できる者でなければ、そこに居場所はないのである。
この言葉から、ある牧師の言葉を想起した。
「教会は戦艦でなければならない。そしてそれに乗る者は、皆使命を持っていなければならない」
これは、神様の為にそれぞれが自分のできることをし、犠牲を払うべきだ、という意味だと思う。そしてそれ自体は、決して間違いではないと思う。
しかしそれが、全ての教会員を有無を言わせず奉仕活動に駆り立て、役に立たない者は要らない、ということであるなら問題がある。ましてその奉仕活動が、神の名を借りた牧師の自己実現であるなら問題はより大きい。
教会がパーティーばかりでは良くないだろうし、互いの傷を舐め合うだけでも良くないだろう。けれど奉仕ばかりで余裕がなく、嫌なことを訓練と称して無理強いされる教会というのも、考えものだろうと思う。
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