給与額の水準について思うこと

2013年9月16日月曜日

生き方について思うこと

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 正規雇用とか非正規雇用とか形態はいろいろだろうが、とにかく働くうえで大切なのは給料ではないかと思う。給料をもらうために働くと言っても過言ではないかもしれない(私はそうだ)。もちろんお金以外の目的もあるだろうが、もし給料が一円ももらえないなら働かない(働けない)という人は多いと思う。

 その給料というのがピンキリで、業種や職種や何やかやでけっこう幅がある。
 私は医療・福祉分野でずっと働いている。この分野は資格を要する職種がほとんどで、それなりにお金をかけて勉強し、試験にパスしなければ得られないものばかりだ。
 が、この資格取得の苦労と、給与額が比例しているかというと、そうでもないような気がする。例えば介護分野で十数年前にできたケアマネという資格は、基礎資格での業務経験が必要なうえ、合格率2~3割程度の試験にパスしなければならない。それほどの難関であるにもかかわらず、その平均給与額は(私の感覚では)安いように思える。「介護保険制度の要」とか言われる資格だが、うまく利用されているような気がしてならない。
 他にも救急救命士などは激務で有名だけれど、平均給与額を見ると、やはり気の毒になってくる。

 もちろん、お金がすべてではない。「やりがい」とか最近ハヤリの「ワーク・ライフ・バランス」も大切だと思う。充実感をもって働けるなら、給与額はある程度、度外視できるとも思う。
 けれど、「やりがいがあるから満足だ」というのは働く人間が言うから納得できるのであって、それを会社側が押し付けるように言うのは、また別の話であろう。

 学生時代に地味にハマった漫画に、「ツルモク独身寮」というのがある。高卒で家具会社に就職した主人公の、仕事や独身寮での生活を描く青春物語だ。
 主人公の同僚に、とんでもない不良社員がいた(名前は忘れてしまった)。勤務態度が悪く、失敗も多く、そのくせ反省しない問題児だった。けれど主人公と殴り合いのケンカをした後(だったと思う)、ついに本音を話す。
 その不良社員の本音というのは、「このまま地道に働き続けても、生涯もらえる給料なんてだいたい計算できてしまう。そんな人生つまらない。もっと満足できることがしたい」というようなことだった。
 学生時代の私はそれを読んで、カッコいいなあと大いに共感したものだ。

 要するに彼の主張は、「もっと満足できる仕事をして、予測できないくらいの金持ちになりたい」ということだろうと思う。
 そのために必要なのは努力だったり勉強だったり、人脈だったり運だったり、勇気だったり挑戦だったりするかもしれない。しかし前述にように、努力や勉強だけでは、さほど期待できないのが現実なのだと思う。

 また、金持ちになったからとて、それが何になるのかという話にもなるだろう。もちろんお金はないよりあった方がいいけれど、その上限というのはキリがないと思う。財産が増えるほど心配事も増える、という話もある(私にはそういう経験はないが)。

 そう考えると、前述の「資格取得の苦労と給与額の不釣り合い」というのも、自分なりの合意点を見出して、折り合いをつけるのがいいのかもしれない。

 そういうことを考えているかどうかわからないけれど、そういう医療・福祉分野で、毎日真面目に働いている人が沢山いる。おそらくそれぞれに葛藤や悩みや、疲れやストレスがあると思うけれど、誠実に働き続けるその姿勢には本当に頭が下がる。資格取得の苦労がどうとか、給与額がどうとか、そういうのは品の無い話なのかもしれない。

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