"Movement is life"(行動こそ命だ)

2013年8月18日日曜日

映画評 生き方について思うこと

t f B! P L
 上映中の映画 "World War Z" を観た。
 謎のウィルス感染が世界規模で拡散する中、元国連捜査官のジェリー(ブラット・ピット)が感染源を探して各国を飛び回るというパニックホラーである。舞台はアメリカ、韓国、イスラエル、ウェールズで、ほぼ世界一周。壮大なスケールで、劇場鑑賞にピッタリだった。

 序盤、ジェリーと家族は危険を避けて奔走し、あるアパートメントにたどり着く。そこでスペイン系(?)の家族の世話になるのだが、夜明けとともに出発する。その際、スペイン系家族にも一緒に来るよう勧めるジェリーの言葉が、印象的だった。

"Movement is life"

「行動こそ命だ」という日本語訳だったと思う。
 死と隣り合わせの紛争地帯を生き延びてきたジェリーだからこその台詞だろう。率先して行動しなければ死んでしまうし、行動するにはよく考えなければならないし、考えるにはいろいろな情報や知識がなければならない。そんな意味で言ったのだと思う。それを証明するかのように、(多少ご都合主義ではあるが)アパートを出たジェリーたちは生き残り、留まったスペイン系家族はウィルスの餌食となってしまう。
 しかしこれはサバイバルだけでなく、あらゆる場面で適用できる言葉ではないかと私は思った。

 学校でも職場でもどんなコミュニティでも、ただ手をこまねいて見ているだけでは何も成し遂げられない。そこで何らかの行動を起こすことが、活路を見出したり状況を変化させたりすることになるのだと思う。
 もちろん、時には「何もしない」という行動もあるだろうけれど。

 私が身を置いている医療の現場は、まさにこの言葉を体現している。患者さん本人が気づいていない身体的異常を率先して発見し、早く適切な行動を起こさなければ、手遅れになることもある。もちろん何もしないという選択肢もあるし、しても見当違いということもある。いずれにせよ、自分の選択が人の一生を左右するという事実は、心に留めておかなければならない。

 そうでなくても、自分の一生を左右するのは、やはり自分自身の選択だろう。行動するか、しないか。それが瞬時に命運を分けるということはそれほど多くはないだろう。けれど長い人生で見たとき、ある一つの行動が(あるいは行動しなかったことが)、人生全体を大きく変えたということはあると思う。

 良い一生を送りたいと、だれもが願っているだろう。けれどそのために行動を起こすというのは、案外難しいものかもしれない。 "Movement is life" という台詞を聞きながら、そんなことをしばし考えた。

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