あるクリスチャン(?)が「天国は本当にある!」という本を書いている。
その著者は天国に17回、地獄に2回行ってきて、ついでに患難時代も見てきたと証言している。
どこを何回見てくるのも結構だが、私が気になったのは、その著者が執筆した目的である。
「この本を通して、できるだけ多くの人が救われることです」
つまり、天国と地獄はこんなだから、ぜひイエス・キリストを信じなさい、そして死後に天国に行きましょう、ということで、未信者への伝道が目的ということらしい。
が、私には、この本が伝道目的とは思えない。
何故ならルカの福音書16章31節には、「死人の中からよみがえってくる者があっても、彼らはその勧めを聞き入れはしないであろう」と書いてあって、すなわち「聖書を信じないんだったら、臨死体験した人の話だって信じないんだよ」と言っているからだ。
聖書がそう言っているのだから、ましてその聖書を信じるクリスチャンたちが、この著者の臨死体験を信じるというのはおかしなことではないだろうか。
またこの著者がターゲットとしているはずの未信者がこういう本から感じるのは、「胡散臭い宗教本だ」という疑念ではないだろうか。
もちろん、こういう話を信じる人たちがいるのも確かだ。が、彼らはキリスト教に特別な関心を寄せるというよりは、最近で言うと「スピリチュアル」な何かを次々と試し、超能力とか、霊能とか、そういう超自然的な何かを求めているだけだ。
そういう人たちをターゲットにしているなら、出版する意味はあるだろう。スピリチュアル本の一つとして注目されるかもしれない。
が、それはもはや伝道目的ではない。
いずれにせよ、誰も信じないよ、と自らの聖典が言っていることをあえて本にする神経が、私には全然わからない。
この著者は聖書をちゃんと読んでいないのではないだろうか。それとも、他人はみんなバカだと思っているのだろうか。
また、天国がこう、地獄がこう、ということで神様を信じるとしたら、それは本当の信仰ではないだろう。地獄に行くのが怖いから信じます、天国でいい思いがしたいから信じます、という動機でしかない。まるでジャイアンには完全服従し、のび太には嫌がらせ三昧のスネ夫みたいなものではないか。
そこには、神様がこういう方で、私にこんなことをして下さったという関係性がない。あるのは利害関係だけだ。
そんな関係を神様が喜ばれるかどうか、私には甚だ疑問だ。
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