行ってはいけないチャーチスクール

2013年4月5日金曜日

キリスト教信仰

t f B! P L
 チャーチスクールに通うというのは、日本では非常にマイノリティな道である。
 だからそこへ子どもを入れようかどうしようかと迷っている保護者の皆さんも、マイノリティだと思う。
 ゆえに、私がここに書く内容を必要とする人も、ごく少数であろう。が、私は書かずにいられない。元チャーチスクール教師としての反省も込めて、これからチャーチスクールを利用しようとする人々へ警告を発することは、私の義務だと思うからだ。

※ここで言う「チャーチスクール」とは、各種クリスチャンスクールも含め、「教会あるいはキリスト教団体が運営する」「聖書教育+一般学習を施す」「文科省の認可を受けていない」スクール全般を指す。

 あなたがお子さんをチャーチスクールに入れようと考えているなら、そのスクールの代表なり入学担当者なりに、以下の点を尋ねることを勧める。

・授業料の詳細を聞き、値引きできるか聞いてみる
 まず、授業料がいくらなのか明示していないとしたら問題である。その理由を聞いて「お金は二の次、大事なのは信仰です」とか答えたらトンデモ率倍増である。真面目な顔して、信仰と言えば煙に巻けるとあなたをバカにしている恐れがある。
 また、おそらく授業料以外にも払うものがいろいろあるはずだから、結局月額いくらなのか、確認しなければならない。
 そのうえで、「そんなに払えないから値引きしてくれ」と言ってみる。まともな学校なら、値引きなんてしない。が、「あなたのお子様の信仰のためですから」とか言って真剣に値引きを考え始めたら、やはりトンデモである。親身に見えるかもしれないが、騙されてはいけない。単に生徒数を揃えたいだけだ。それに家庭によって支払額を変える、差別的運営であることを露見してしまっている。

・会計報告を見せてくれと言ってみる
 会計報告は、各種法人であれば開示義務がある。が、いわゆる牧師などによる個人経営の場合、確定申告の義務はあっても開示義務はない。
 とはいえ、複数の児童を預かって多額のお金をもらう「学校」形態である以上、法人格に準じた会計報告をすべきだ。
 つまり、法人であろうとなかろうと、会計報告がないスクールはアウトだ。あるいはあっても、数日のうちに出せないとか、入学前だから見せられないとか、いろいろ理由をつけて開示しないスクールも同様にアウトである。お金の扱いに不透明な、いい加減なところがあるから見せられない可能性が高い。(お金の扱いが明確でないというのは、もちろんキリスト教界においてもご法度である。)
 また、会計報告があっても、それで満足してはならない。内容に注目してみる。結果的にトントンな収支であっても、収入欄に寄付金とか、献金とか、支援金とか、いわゆるイレギュラーな入金が多い場合は、要注意である。ちゃんと計算してみて、そのイレギュラー入金がなければ赤字になっているとしたら、そのスクールの経営は明らかに不健全である。寄付金頼みの難破船スクールである。

・スクールの理念は何ですかと聞いてみる
 これは、事前にホームページ等で理念を確認し、書き留めておいたらいい。
 代表者が、理念を聞かれて口ごもるようならアウトだ。あるいはすらすら答えても、全然関係ないことを言えば同様にアウトである。つまり目指すものが曖昧で、とりえあず運営したい、卒業後の生徒の進路なんて関係ない、というのが本音なのである。

・在校生の学力、社会性を確認する
 学力の判断は難しいが、一般的に、チャーチスクールで平均的学力を維持するのは非常に難しいということは前提として考えるべきだ。運営者らがその事実を正しく認識しているなら、何らかの対策をしているはずである。例えば中学生ならV模試やW模試を受けさせているとか、高校生なら全国実力テストを受けさせているとか。
 自分たちの不足を認識するというのは、教育者として必要な資質である。が、「信仰が伸びれば学力も上がります」とか「神様が助けてくれます」とか真顔で言ったら信用してはいけない。自分たちの責任を平気で放り投げているだけだ。
 生徒たちの社会性は、簡単に見極めることができる。学校見学の際、休み時間を狙って教室を見に行けばいい。あなたが無言で入っていき、それでも生徒たちが元気よく挨拶してきたとしたら、彼らは非常によく教えられている。が、あなたのことをまったく無視するようなら、あるいは気づいても声をかけてこないようなら、あなたのお子さんがそのスクールでコミュ障に育つ可能性は高い

・卒業生の進路を聞いてみる
 この場合、有名大学や企業に進んだごく一部の例に騙されてはいけない。フタを開けたら神学校進学とか海外留学とかが大半だったりする。非常に狭い進路であることが多い。
 また、高校生に関して高卒認定試験に合格すれば大丈夫ですと豪語したら要注意だ。高卒認定試験は「高校卒業程度の学力」を証明するだけであって、高卒資格ではない。そのスクールの高校を卒業しても、進学するのでなければ、あなたのお子さんは中卒程度ということになってしまう。逆にそのへんをちゃんと説明してくれるスクールであれば、ある程度誠実ではある。

・最後に
 キリスト教団体は誠実でしっかりしている、というのは残念ながら幻想でしかない
 一部にはそういうところがあるかもしれない。が、私が安心してお勧めできる団体は、数えるくらいしかない。
 人は、口では良いことをいくらでも言えるものだ。誠実な、真摯な、真面目な風に装うことは、誰にでもできる。クリスチャンとしてどうかと思うかもしれないが、「騙されているかも」と疑ってかかるくらいがちょうどいいと私は思っている。
 お子さんの入学を考えるなら、よくよく覚悟してからにすべきだ。何故ならあなたの決断の結果、子どもがどうなるか、その責任はあなた自身にあるからだ。
 あなたが信頼したスクールも、牧師も、教師も、誰も責任をとってくれなどしない

追記)
 上記のチェックリストを実際に聞くことが、失礼に当たるのではないかと心配する人がいるかもしれない。が、そんな心配は無用だ。
 なぜならクリスチャンは「愛・平安・喜び・寛容・親切・善意・誠実・柔和・自制」といった心の資質を備えることを目標の一つとしているし、彼らリーダー的立場にある人々は、もうすでにそれらを兼ね備えているはずだからだ。あなたが多少無礼な態度で接しようとも、彼らはきっとあたたかく、優しく受け入れてくれるだろう。

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