チャーチスクールの高校生の悲劇

2013年4月14日日曜日

教育

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 私が勤務していたチャーチスクールが問題発生後、大きく様変わりしたのは何度も書いている通りだ。生徒数が三分の一に減り、教師はほぼ総入れ替えとなった。施設も一か所だけに縮小し、細々とやっている(その在り方の問題点はすでに書いてきた)。

 その新体制と袂を分かつ父兄や教師も多かった。私もその一人だ。生徒からすれば、従来とは違う方針、違う教師、違う授業の中でやっていかなければならない。従来のスクールを良しとして入学してきた生徒や父兄からしたら、「話が違う」というのも当然だろう。

 そういうわけでスクールを退学し、別の道を選んだ家庭は多い。
 幼稚園生、小学生、中学生は、それでもまだ道があるからいい。公立の、自分の学区の学校が受け入れてくれる。
 問題は高校生だ。

 もともとこのスクールは無認可だから、高校レベルの授業をしても、公の単位とは認められない。だから3年間頑張って勉強しても、世間一般でいうところの高校卒業にはならない。本人たちがいくら頑張ってもだ。高卒認定試験に合格して進学しない限り、彼らの最終学歴は(厳密に言えば)「中卒」になる。
 このスクールで高校生として1年間、あるいは2年間過ごしてきた生徒たちが、上記の理由で退学した時、その後どうするかは本当に悩むところだ。

 都立・県立などの公立高校は4月入学が原則だから、学期中に入ることはできない。それに4月を待って入学するにしても、学年は1年になる。
 通信制高校も基本的にはそれと同じだ。学期途中から始められるにしても、そこから3年間かけなければならない。
 私立高校は唯一可能性を残している。実際にあった例だが、高1の2学期までチャーチスクールで過ごした生徒が、某私立高校の1年生への編入を認められたことがある。ただ、それは高1の2学期前半という、早い時期だから叶ったことではある。これが高2の終わりとか高3だったら、話は違うだろう。それに、私立は費用の点が問題ともなる。

 というわけで最後に残された現実的な道は、ホームスクーリングである。家で自分で勉強する、親が教える、予備校に通う、などいくつか手法はあるが、いずれにせよ「学校」というものに属さない形態だ。これで高卒認定試験合格を目指すとか、大学や専門学校への進学を目指すとかいうことになる。中には就職する子もいるだろう。

 子どもと言っても千差万別、いろいろな子がいる。中には学校に通うより、ホームスクーリングの方がのびのびできて良い結果を生む子もいるだろう。ホームスクーリングで大学進学し、社会で頑張っている子もいる。
 が、そうでなく、「学校」という枠組みを必要としている子もいる。そういう子からすると、この状況は決して喜ばしくない。

 今まで信じてきたチャーチスクールを辞めざるを得なくなり、突然、道なき道へ放り出された子たちが、実際にいる。
 彼らのフォローをできなかったチャーチスクールの罪は大きい。
 願わくは彼らが、それでも逞しく、したたかに、自分の生きる道を見つけて進んでいければと思う。
 私も何かその役に立てればと願ってやまない。

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