The Bourne Legacy

2013年3月2日土曜日

映画評

t f B! P L
邦題「ボーン・レガシー」(2012年アメリカ)

■概要
 ジェイソン・ボーンを主人公にした「ボーン・アイデンティティ」シリーズの第4作に当たるが、主人公をジェレミー・レナー演じるアーロン・クロスに変えた作品。企画当初はマット・デイモン演じるジェイソン・ボーンが主演だったが、諸事情により降板となった。今後ボーンの復帰もあり得るので、本作は「ボーン・アルティメイタム」と同時進行のストーリーになっている。

■あらすじ
 ジェイソン・ボーンとCIA内部調査局のパメラ・ランディが「トレッド・ストーン計画」を告発しようと活動している背後で、国家調査研究所は告発の拡大を防ごうと暗躍していた。CIAが「トレッド・ストーン計画」の他に進めていた「アウトカム計画」の被験者を、暗殺し始めたのだ。
 アラスカで訓練中だった被験者のアーロン・クロスは難を逃れるが、認識能力の維持には定時の服薬が必要だった。
 同じころ、被験者の管理をしているモルランタ社でも関係者の殺害が始まっていた。研究員のマルタは九死に一生を得るが、自宅でも刺客に襲われる。彼女を助けたのは、薬を求めて彼女を追ってきたアーロンだった。
 アーロンはマルタから、薬がなくてもウィルス感染で認識能力を半永久的に獲得できると知る。それにはフィリピンの工場に行く必要があった。彼らは追手の追跡を逃れつつ、マニラに向かう。

■二番煎じ、三番煎じ
「ボーン」シリーズの定石は、外国で逃避行を続ける主人公が知恵と力で組織に立ち向かい、刺客に打ち勝ち、黒幕にギャフンと言わせる、というものだ。前3作で同じことを3回やって飽きられなかったのは、主人公の記憶が徐々によみがえり、作品ごとに新事実が明かされる、という設定にしたからだ。
 しかし本作では、記憶ネタはない。キャラが一新されたのは確かに変化だが、それだけで定石通りにやってしまった。つまり主人公の逃避行、組織との攻防、刺客との戦い、である。新しい刺客を立てるために「ラークス計画」なるものも登場する。どんだけ計画あるんだよ、と言いたくなった。

■エンターテイメントとしては
 
 アクション映画として楽しむことはできるかもしれない。序盤の無人機との戦いのあたりは良い。しかしほとんどのアクションは見飽きた感のあるものばかりだった。マニラの狭い壁面をアーロンが飛び降りる、CMでも有名なシーンは確かにすごいが、あのシーンくらいだ。唯一の見せ場をCMでやってしまってはダメだろうと思った。
 ラークス計画の刺客は、最近映画で見るルイ・オザワという人だ。日本と台湾のハーフらしい。「プレデターズ」の日本マフィア役の時と同じような出で立ちで登場していた。出番は意外に少なかったが。

■その他
 アーロン・クロスはジェイソン・ボーンより優れた工作員とされているようだが、正直、ボーンの方が知的だし、強いように見える(本作ではボーンは写真でのみ登場)。

 マルタ役は見たことあるなと思っていたが、「ハムナプトラ」のエヴリン役のレイチェル・ワイズだった。

 オリジナルシリーズのマット・ディモンと監督のポール・グリーングラスには是非復帰してもらいたい。
 本作とは関係ないが、このシリーズで特に面白いのは、2作目「スプレマシー」の結末が3作目「アルティメイタム」の中盤であるというトリックだ。2作目のハッピーエンドの平和なシーンが、3作目では作戦中の緊迫したシーンなのである。

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