クリスチャンと選挙

2022年7月7日木曜日

クリスチャンと政治

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政治の話はするな?

 来る2022710日(日)は参院選です。向こう3年間の政治動向を左右する重要な選挙とされています。投票権を持つクリスチャンの皆さんは投票される(された)でしょうか。


 この時期によく聞くのが「教会で政治の話をするな」です。政教分離を意識してのことかもしれません。私の教会も政治に直接言及する雰囲気はありませんでした。ただそれは政治の話を意識的に忌避していたからでなく、単にみんな興味がなかっただけな気がしますが。


 考えてみれば「政治の話をするな」というのは不思議な台詞です。教会の中でも外でも、どこでも、私たちの発言は政治に関係しているからです。たとえば「消費税がキツいな」は消費税を減税すべきという政治的発言になります。「私はクリスチャンです」は憲法20条の「信教の自由」に依拠しています。「政治は生活」とはよく言ったもので、普段あまり意識されないかもしれませんが、そのように政治は私たちの生活に直結しています。


 なので「政治の話をするな」は「生活するな」と同義と言えるかもしれません。無理な話ではないでしょうか。

 そして「誰に(どの政党に)投票するか」は、「どんな生活がしたいか」に直結します。例えば同性婚を望む人が、同性婚実現を政策に掲げる人に投票するのは、まさに自分の生活、将来のためです。その意味で選挙も政治もまったく他人事でありません。


クリスチャン議員が増えるのは良いこと?


 今回の参院選には複数のクリスチャン候補者がいます。信仰的背景や立候補する政党は様々ですが、いわゆる「クリスチャン議員」が生まれる(増える)可能性があります。同じクリスチャンとして喜ばしいことかもしれません。積極的に応援したり、支持を呼びかけたりする人もいるようです。


 しかし考えてみて下さい。クリスチャンといっても、教派や信仰のスタンスは様々です。例えばリベラル系のクリスチャンが議員になっても、保守系のクリスチャンはあまり喜ばないのではないでしょうか。普段から「○○は罪」と主張するクリスチャンが議員になったら、その○○を政策レベルで禁止しようと動くのではないでしょうか(それはそれで政教分離を限りなく侵犯している気がしますが)。


 アメリカの政策に米福音派の影響が少なくないのは、トランプ前大統領の頃から(正確にはもっと前から)明らかです。最近も中絶禁止の方向に大きく転換する最高裁の判決が出てしまいましたが、その背景に米福音派の主張があるのは間違いありません。

 クリスチャンが議員になったら全部良くなる、と思ったら大間違いなのです。


 ですから候補者が「クリスチャンだから」という理由だけで投票するのは、ナンセンスと言う他ありません。主張や政策をちゃんと吟味すべきでしょう。そして吟味の結果、クリスチャンでない候補者に投票するのも自分の生活のため、ひいては信仰のためです。



政治の話をしよう


 冒頭で「教会で政治の話をするな」という言説を紹介しましたが、教会でもどんどん政治の話をすべきだと私は思います。繰り返しますが、それは(そう思えなくても)私たちの生活や信仰に直結しているからです。


 ただし、教会の教職者や役員やリーダーが、信徒らに「この候補者に投票すべき」とか、「この候補者こそ神の御心だ」とかと投票行動を強制するのは避けなければなりません。パワーバランスの違いを意識しましょう。


 また信徒の側も、教職者にこう言われたから、みたいな動機で投票すべきでありません。せっかくの権利ですから、ちゃんと候補者の主張や政策を吟味して行使すべきです。


 その上で「自分はこういう政治がいい」「こんな暮らしがしたい」「ではどうすべきだろうか」と意見を交わして深めるのは、教会でもクリスチャンどうしでも、どんどんやっていくべきだと私は思います。

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