2017年3月5日日曜日

議論に影響する、論理以外のもの

 原理主義vsリベラルの神学的議論を時々みるけれど、残念ながら(そして相変わらず)不毛だなあと思うことが多い。

 もちろん双方とも、一生懸命というか、自らの信条に真剣なのはわかる。私自身、長らく原理主義をやってきたし、今はリベラルっぽい立場にいるから、両方の気持ちがわかる。どれだけ自分の考えを相手に訴えたいか、主張したいか、よくわかる。わかるだけに、それが不毛な結果に終わるのは見ていてつらい。

 全部が全部というわけではないけれど、原理主義vsリベラルの議論は、大抵はどこにも着地しない。双方の主張がすれ違い、あるいは平行線をたどり、あるいは論点が次第にズレていく。気づくと「あれこんな話だったっけ」みたいなことも少なくない。結論のないまま、あるいは終了の合図のないまま終わっていることもある。

 たとえばこんな感じ。
(あるトピックについて議論している最中に)
A「それはあなたが不勉強なだけでしょう」
B「ええ、不勉強ですけど何か?」
A「いやいや不勉強でいいわけないでしょう」
B「あなたみたいに頭でっかちになるよりマシです」
A「そんなふうに無知を自慢されても・・・」
B「そもそもあなたの発想が突飛なのです。異端ですか」
A「自分と違う意見だからって何でもかんでも異端にしないで下さい」
B「私がいつ何でもかんでも異端にしましたか?」
A「いや何でもかんでもは言葉の綾です」
B「おかしな言葉遊びはやめて下さい」
A「いやいや・・・(ため息)」
B「ほら、都合が悪くなるとこれだ(ため息)」

 これはちょっと冗談っぽく書いたんだけど、はじめのトピックはどこへ行ったんだろう、というくらい脱線している。でも似たようなことが現実に起こっているから、あまり笑えない。

 繰り返すけれど、全ての議論がそうだと言ってるのではない。けれどそういうのがたいへん多くて、不毛だなあと思うことが多いのである。

 当然ながら議論に必要なのは「論理」である。主張が筋道立っていて論理的でないと、そもそも議論は成立しない。
 しかし、じゃあ論理「だけ」あれば議論になるかと言うと、そうではないと思う。

 時に議論を大きく邪魔するものに、「感情」がある。「感情」は筋道が通っているか、論理的に正しいか、だけでは納得しないことがある。あるいは逆に、筋道が通っていなくても納得してしまうこともある。その意味で、「感情」は「論理」を超えているのかもしれない。

 たとえば自分が堅く信じている事柄を、相手が頭から全否定してくる。するとムキになって反論したくなるだろう。相手がこう言ったらこう返して、こう言ったらこう返して、という具合に、とにかく反論し続けなければ気が済まなくなる。話が脱線しようが何だろうが、相手をやり込めるまで止められなくなる。

 そういう状態になってしまったら、もはや論理でなく感情に支配された「言い争い」であろう。論理はどこかに行ってしまって、相手に反論すること自体が目的になってしまっている。もうどこにも着地できない。

 また「感情」が影響するのはネガティブな方面だけではない。
 たとえばAさんとBさんが議論していて、私がそれを聞いているとする。私はAさんの友達で、同じ教会のメンバーでもあり、気心の知れた間柄である。だからAさんとBさんが議論したら、私がAさんに肩入れし、Bさんに敵対的になるのはごく自然なことであろう。
 でもその場合、私はひどく客観性を欠いていて、双方の主張を論理的に評価できなくなっている。もし私がその議論に参加したら、単にBさんを個人攻撃するだけになってしまうだろう。

「感情」が「論理」を邪魔している状態。

 たぶん議論においてこれほどまでに「感情」が厄介な存在になるのは、我々日本人がディベートとか討論とかに慣れ親しんでいないからであろう。
 学校によって違うかもしれないけれど、おそらく多くの中学校や高校や大学は、ディベートをあまりやらない。私自身そうだった。だからあくまで論理的な、できるだけ感情を排した、個人攻撃に走らない、そして相手の意見をしっかり聞くことができる、機能的な(そして模範的な)議論というものを、知らないのだと思う。

 ではどうしたらいいのか、という話だけれど、やはり議論には建設的な関係が必要だと思う。
 自分と違う意見の人間は、「敵」ではない。むしろ自分に気づきを与えてくれる存在である。という共通理解が必要であろう。

 そして共通のゴールである。その議論の目的は何なのか。相手をやりこめ、貶め、自分を正当化したい、というのでは共通のゴールにならない。やはり議論を通して考えが深まったり、それまでなかった視点を持てたり、見識が広がったりすることが、双方にとって有益な議論なのではないだろうか。

 と、言うのは簡単なんだけどね、というお話。

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