このキャンプを主催する「キリスト教福音宣教会」は、教派としては(一応)ペンテコステ派に属するとのこと。そして統計的データはないけれど、アメリカではペンテコステ派は多いようだ。だから、あのドキュメンタリーにも「アメリカを動かす」という大それた副題が付けられていると思われる(もちろんペンテコステ派の全てがあんな様態なはずはないと思うし、ああいう団体がアメリカを動かしているはずもないと思うけれど)。
アメリカはキリスト教国だから教会もクリスチャンも多くて、大統領も公式のスピーチで"God bless America"とか言うし、さぞクリスチャンにとって住みやすい環境ではないかと、私などは想像している(あくまで想像だ)。かたや日本はクリスチャン人口1%未満と言われ、場合によってはクリスチャンだと表明するのも勇気がいる。マイノリティゆえに肩身の狭い思いをする機会は、決して少なくない。
しかしもし"Jesus Camp" のような有様が結構な比率で存在するとしたら、クリスチャンが多数派だからと安心してもいられない。キリスト教国である、クリスチャンが多数派であるというのも大切だけれど、その場合その「質」は更に重要だ。たとえば仮に大多数が新興宗教的、カルト的団体だとしたら、そのキリスト教国は非常に危険な状態だろう。
そう考えると、クリスチャン人口1%未満であっても、まだまだ希望はあるような気がする。少数でも質の高いクリスチャンがちゃんと存在していて、周囲とも良い形で折り合いをつけているなら、クリスチャンが殊更悪く言われることもないだろう。むしろ良い印象を持たれて、「クリスチャンもいいもんだ」と思ってもらえるかもしれない(実はそれが一番の伝道方法ではないかと思う)。
ただ問題は、少数かつ低質である場合だ。数が少ない上に質が悪く、いろいろ非難されているとしたら、それは救いようのない絶滅危惧種みたいなものだ(必ずしも今の日本がそうだと言っているのではない)。
追記)
クリスチャンの質の高さとは何か、というのも一つの議論になるだろう。私が確信しているのは、どれだけ聖書に通じているかより、どれだけ人格的に成熟しているかの方がはるかに重要である、ということだ。
プロテスタントといっても明治時代に教育や福祉や医療に貢献したのは伝統宗教であって、ジーザスキャンプのような新興宗教とは教理も全然違い、別の団体であるということを念頭に置かなくてはならないと思います。
返信削除プロテスタントは一枚岩ではなく、無法地帯でまともなものもあればはちゃめちゃなものもありで、とくに明治の終わりに上陸し大正時代にブームになったホーリネス以降、おかしなプロテスタントが出てくるようになり、第二次世界大戦後に来日した宣教師はろくでもない人種がよくいたり。90年代からは韓流の新興宗教が増え、日本国内で害悪をまき散らす状態。
野田様、匿名様
返信削除コメントありがとうございます。
近現代のキリスト教の歴史を紐解いていくのは大切ですね。クリスチャンが尊敬されるというのは、現状からするとちょっと想像しにくいような気がしますから。
日野原医師で有名な聖路加国際病院は、かつて保健所の前身となる保健施設を日本で初めて(民間で)設立し、特に小児保健に大きく貢献したそうです。それが発端となって行政が動き、全国に保健所がつくられる流れになりました。そのような意味で、地域や国に貢献できるのが本当の隣人愛だと思います。
それにくらべ、昨今の新興宗教的なプロテスタント教会には、「霊的戦い」で地域に貢献しているとか主張するところがありますが、一般の人からしたら何の意味もないどころか、気味悪がられるだけですからね。
あるクリスチャンのブログに「伝統宗教が明治以来苦労して築き上げた信用という貯蓄を、福音派に代表される新興宗教が悪いことをしまくって評判を落として食いつぶしていく・・・」とありましたが、まさしく現状はその方が嘆かれる通りになっています。
返信削除霊的戦いをやっている新興宗教には困りものです。神社の放火のニュースを聞くたびに、ひょっとしたら放火までやらかしているのではないかと思ってしまう・・・
加えて新興宗教で流行っているのが、きまじめ君の終末詐欺やチャーチスクールホームスクールです。終末詐欺で財産をすべて失った人や、終末が近いからと学校や会社を辞めた人や、子供を世の悪影響から守るのだと普通教育を受けさせず、子供が新興宗教の中に死ぬまで監禁される人生になったり・・・ろくなことはありません。
野田さんの「プロテスタントの基本に立ち返る」という表現が気になります。プロテスタントをこう評する声もあります。「宗教改革の理念は立派だし、最初はうまくいっていたのかもしれない。でも聖書主義・万人祭祀・信仰のみで救われるの三本柱が制度疲労を起こしているのではないか」
返信削除現状はルターにとって完全に想定外では?
とくにカルヴァン系の多数の宗派です。今やプロテスタントといえば、聖公会やルーテル系のように儀式性を帯びた宗派よりも、カルヴァン系の宗派のほうが圧倒的多数です。数が多いだけに問題も多く、非常に目立ちます。