性自認は自分が思っているより曖昧なものかもしれない。
ゴツゴツした体で髭が濃く、男性器があり、誕生時からずっと男として扱われ、学校では「男らしさ」を求められ、異性との交際がステータスとされ続けることで、「自分は男だ」と認識する節があるように思う(女性にも同じことが言えると思う)。
もちろんそこに強烈な違和感がなかったから、男として生きてきたのだと思う。
ただ自分の場合、違和感が完全になかったとは言い切れない。特に「男らしくあれ」という部分においては。
とにかく周囲からの「性他認」が強く(お前は男だ/女だ)、性自認そのものについてよく考える機会が少ないように思う。「考えなくていい」というのはそのまま性的マジョリティの特権でもあるのだが(性的マイノリティは考えないわけにいかない)。
そしてこれは性自認だけでなく、性指向や性表現にも同様に言える。その全部がマジョリティ属性(身体的に男性であれば男性らしい格好をし、男性らしい態度をとり、女性を好きなる、というような多数派の属性)であることが当然だ、とまだ考えられているからだ。そのように押し付けられもする。それに逆らうだけの違和感が自分の中になければ(トランスジェンダーなど)、それ以上考えない。そうやって自分の中の可能性を葬り去っていく。
そういえば「バイセクシャルの人は自分でそうと気付きにくい」という話を聞いたことがある。そうかと妙に納得したものだ。