2019年に入ってはや一週間です。この調子で月日がどんどん過ぎてしまうと思うと、時間の大切さが身に沁みます。限られた時間を、有効に使いたいものですね。
私が良いなと思う時間の使い方の一つは、読書です。「読む時間が無駄になる」と思われるかもしれませんが、読書によって得た知識や教養はその後の人生の財産になる、と私は考えます。もちろん一冊一冊は大した量ではありませんし、本によっていろいろなのですが、積み重なると馬鹿にできません。私も2018年中はけっこう本を読みましたが、2017年に比べて知識の幅が少しは広がったかな、と思います。
ということで2018年中に読んだ本のうち、キリスト教系の書籍で良かったなと思う三冊を、(完全に独断で)紹介したいと思います。ちなみに「2018年中に読んだ」ものであって、「2018年中に出版された」ものではありませんので、あしからず。
■一冊目「ふしぎなキリスト教」
これは新書大賞2012にもなった本です。二人の社会学者による対談形式で、キリスト教の「ふしぎ」に迫ります。一人が若干ふざけ気味にツッコミを入れ、もう一人が大真面目にそれに答える、というコント要素が面白いです。でも面白いだけでなく、「そういう視点はなかったな」という発見に満ちています(私はそうでした)。
たとえば福音書中、イエスは自分を指して「人の子」とよく言いますが、なんで「人の子」なの? と疑問に思ったことありませんか。
あるいは「不正な管理人」のたとえ話で、なんで不正をした管理人が褒められるの? と思ったことは。
またまた「予定説」と「資本主義」が繋がっている話とか、奇跡と科学の関係とか、無神論者は本当に無神論なのかとか、とにかく全編飽きずに読めました。
これは信仰歴の長いクリスチャンの方に特にお勧めしたいです。もちろん信じたばかりの人にとっても有益でしょう。
ただこれ、出版当時は福音派あたりからかなりバッシングされたみたいです。ちょっと「ふざけ」が過ぎたのかも。あるいは福音派にとって痛いところを突かれたとか?(笑)
■二冊目「知ったかぶりキリスト教入門」
これはキリスト教について99のQ&Aを展開しながら、キリスト教について知っていこう、という本です。「入門」とありますが、身近な質問から突っ込んだ質問まで、いろいろ揃っています。
たとえば、欧米人は驚くとなぜ「ジーザス!」って言うの? とか、三位一体って具体的に何なの? とか、キリスト教とイスラム教の関係とか、死後の世界はどうなってるんだとか。
たしかにこれ、何も知らない人でも、読めばキリスト教を「知ったかぶり」できそうです(笑)。
真面目な話、信仰歴の長い人にはぜひ読んでほしいですね。奇跡は本当に起こったのかとか、悪魔とは何なのかとか、信仰について「柔軟に」考えるチャンスになると思います。「キリスト教とはこうだ」と固定化してしまっている部分を砕くのに、ちょうどいいかもしれません。
■三冊目「謎解き聖書物語」
これは旧約聖書の有名な五つのエピソード「アダムとエバ」「ノアの方舟」「バベルの塔」「出エジプト」「ダビデとゴリアテ」について、宗教学者が考古学的な知見を交えて考察したものです。
個人的には「ミトコンドリア・イブ」の話が興味深かったです。
ミトコンドリアは人間の細胞中に含まれる遺伝情報の一つですが、母方からしか遺伝されないそうです。つまり全ての人間が、母親(女性)からミトコンドリアを受け継いでいると。そしてそのミトコンドリアを辿っていくと、15万年くらい前にアフリカに住んでいたある女性に行き着くそうです。彼女こそ、現存する全人類の共通の祖先なのではないか、というのが「ミトコンドリア・イブ説」です。
ただし旧約に登場するエバとは違うようですが……(詳しくは読んでみて下さい)。
他にも「ノアの方舟」に類似した洪水物語が古代西アジアに複数存在していたとか、知識欲が刺激される話でいっぱいです。「バベルの塔」は聖書では1ページくらいの話ですが、それについて40ページくらいにわたって考察しているのも面白いですね(考察自体もたいへん勉強になります)。
聖書をより学術的に、考古学的に、民俗学的に学びたい、という方にお勧めです。
知識は一生の財産です。2019年早々に、財産を少し身に付けたらいかがでしょうか。
他にも沢山読んだのですが、ミステリーばかりなので(笑)、ここでは紹介しません。
では皆さん、2019年も良い年にしましょうね。
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