ハロウィンまとめ(2016年版)

2016年10月14日金曜日

「悪霊」に関する問題

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■今年もハロウィンの季節がやってきた

 さて今年もハロウィンの季節がやってきた。1年ぶりである(当たり前)。
 当ブログでは、「ハロウィンがプロテスタント系クリスチャンにとってどうなのか」という点で何度か記事を書いている。その中で、今でもよく読んでいただいているのがこちら。

→ハロウィンを悪魔崇拝と決めつけるクリスチャンの浅はかさ。

 要約すると、ハロウィンに悪魔崇拝の要素が隠れていると仮定(あくまで仮定)しても、当人に崇拝の意思がなければ、それは崇拝にはならない、ということ。たとえば保育園でハロウィンパーティが開催され、子供たちがお菓子やケーキや仮装やゲームを楽しんだとして、それはサタニストの集会じゃないし、それで子供たちがダミアンみたいになる訳でもないし、表でも裏でも悪魔を崇拝する具体的行為がなされている訳でもない。そういう無邪気なパーティの裏で「しめしめ、子供たちに無意識に悪魔崇拝させてやる。ケケケ」とか言ってる低レベルな悪魔がいるのなら、是非お目にかかりたい。
 というようなお話。

 で、今年もハロウィンの是非について、一部のクリスチャンの間で議論がなされている。
 議論されているけれど、基本的に「土台」の違う人たちどうしが議論していて、いつまでたっても並行線でしかないように思う。ハロウィン肯定派も否定派も、ハナから自分の意見(信仰?)を曲げる気がない。だから議論と言いつつ、あまり論理的な話し合いにはなっていない気がする。だから(私に言わせれば)、時間の無駄じゃないかなと思う。聖書解釈という「土台」が違うのだから。極端な例だけど、片方が宇宙の話をしていて、もう片方が海の話をしているようなもの、と言ったらわかりやすいだろうか。

 私個人は、ハロウィンは良いものでも悪いものでもなく、楽しむも楽しまないも、個人(あるいは教会)の自由でいいと思っている。ちなみに私はハロウィンだからと言って何かする習慣はない。心情的にも信仰的にも、賛成も反対もしない。
 歴史的にはもともと「収穫祭」だったものが、現代の商業ベースに乗っかって一般化し、大勢がパーティや仮装をすることで商業側が利潤を得る、というのが昨今のハロウィンの意味だと私は考えている。

■そこに無理やり悪魔が引き込まれている気がする

 ただ私が問題だと思っているのは、ハロウィンに「霊的」に悪魔が働いていて、ハロウィンを祝うと「呪われる」とか、「救いから漏れる」とか、そういうオカルトっぽい「脅迫」についてだ。

 まず「霊的」という時点で、私たちはだいぶ警戒しなければならない。「霊的」そのものを否定する気はないけれど、教会のカルト化が拡大しつつある昨今、「霊的」を主張する傾向には注意しなければならないと思っている。なぜならカルト化教会は、「霊的」という「判定しづらい指標」を好んで使うから。

 もしハロウィンに「霊的」に悪魔が働いていて、それを祝うことで「呪われる」と主張するなら、その実例なり統計データなりを一緒に提供するべきだと思う。これだけの被害が出ているから避けなければならない、という根拠付きの警告なら、有効だろう。
 でもそれ以前に、それが事実なら全国的に、いや世界的に既に問題になっているはずだ。たとえばディズニーランドのハロウィンの夜なんかは、毎年大変なことになっていなければならない。そういう話は全く聞かないけれど。

 次に「呪われる」というのが具体的にどういう状態なのか、そのへんもちゃんと説明しなければならない。呪われたらまずこうなって、次にこうなって、最後にこうなる、みたいな説明がないのは無責任ではないだろうか。そういう説明なく「呪われるぞ」だけなら、脅迫ととられても仕方がない。

 最後に、これは以前も書いたけれど、ハロウィンを祝うと「救いから漏れる」みたいなトンデモ論は本当に勘弁してほしいと思う。びっくりするくらいのトンデモ振りなので、もう一度それらを紹介してみよう。

・ハロウィンのトンデモ論①
カボチャが悪魔の出入り口になる!

 なんかカボチャという食べ物が、悪魔くんたちの出入り口になるらしい。てことはカボチャがなければアダムもエバも罪を犯すことなかったのにね!
 みんな、スーパーマーケットのカボチャ売り場には十分注意してね!(ウソ)

・ハロウィンのトンデモ論②
仮装するとクリスチャンじゃなくなる!

 なんか仮装すると、クリスチャンとしてのアイデンティティをなくしてしまうそうです。姿が変わって、神様から見えなくなるのかな? 神様ってそんな限定的な能力だったっけ?
 みんな、下手にイメチェンしたら、天国行けないかもよ?(ウソ)

・ハロウィンのトンデモ論③
上記をバラすと30日以内に悪魔に殺される!

 なんかジョン・ラミレスという「元サタニスト」によると、上記の話は悪魔界のトップシークレットで、それをバラしちゃったジョンさん、悪魔に「30日以内に殺す」って言われたみたいです。もう何年も前に。
 みんな、悪魔のトップシークレットを気軽にバラすなよ!(ウソ)

 と、いうようなトンデモ論を信じちゃう人は少ないと思うけれど、信じる人は信じるようだ。
 てことはカボチャ禁止の食生活になると思うけど、「すべての食べ物はきよい」と宣言された事実に、さっそく反しているような気がする。そのへんどう反論するつもりなんだろう。

■「イメージ」として教会に合わないのは間違いない

 べつにハロウィンを擁護するつもりはないけれど、ただの季節イベントなのにそこまで悪魔的背景を刷り込まれるのはかわいそうかなと思う。
 もっとも最近、墓場とか骸骨とか魔女とか、従来のハロウィンに比べて禍々しい表現が使われるようになったのも事実であろう。そういう方向で売り出されているから、今更変更できないんだと思う。だからハロウィンは今後ますます禍々しい表現をされるようになり、ますます(一部の)クリスチャンから「汚らわしい」みたいなことを言われるようになると思う。と、一応「先見」しておこう。

 先にハロウィンを祝うも祝わないも自由だと書いたけれど、上記のような「イメージ」の問題として、教会ではあんまりハロウィンはしない方がいいとも思っている。無害な仮装だけならまだしも、墓場や骸骨や魔女は(あくまでイメージとして)教会には合わないと思うからだ。
 もちろん自由だし、ただの「イメージ」や「気分」の話なんだけど。

 ただ間違ってもハロウィンを根拠なしに悪魔崇拝だとか、「霊的」にどうだとか、背後に悪魔が絡んでるとか、そういうことは言わない方がいいと思う。勘違いしないでほしい。あえて言えば、悪魔は私たちの日常に既に絡んでいる。だから今更ハロウィンだけ取り上げて悪魔がどうとか言うのも、おかしな話だと私は思う。

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