カルト被害者を襲う二次被害

2018年5月3日木曜日

カルト問題

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 カルト化教会(あるいはカルトっぽい教会)で大変な目に遭い、なんとかそこを脱出した人が、そのことでまた別の被害に遭ってしまう、なんてことがあります。二次被害、セカンドレイプなどとも言うべき事態です。どんな被害があるのか、ちょっと見ていきましょう。

カルト被害者が別のカルトへ

「カルト化教会で被害に遭った人が、また別のカルト化教会に行ってしまう」ということがあります。せっかくカルトを抜け出したのに、また同じようなカルトに掛かってしまう、という皮肉な話です(本人にとっては笑い話でなく、災難でしかありません)。

 なぜそうなってしまうかと言うと、こういう考え方があるからです。
問題は人(牧師)であって、教え自体は間違っていなかった

 つまり教会の教えややり方、組織や体制には問題なかった。問題はそれを悪用した牧師一人にある。という考え方です。だから問題牧師がいなくなれば良い、そういう牧師のいない教会に行けば良い、と考えるわけです。
 これは、自分が信仰してきた教派(たとえばペンテコステ派、カリスマ派など)は間違っていない、と思いたいからです。長く信仰してきたことだから、間違いであってほしくない、と。

 もちろん、どの教派も「間違い」ということはありません。たとえば福音派や聖霊派が全部「間違い」だと言うことはできません。実際、大きな問題を起こしていないその手の教会もあります。

 ただ、福音派や聖霊派が問題を「起こしやすい」のもまた事実です。今までカルト化が認められた教会群はだいたい福音派か聖霊派ですから。逆に日本基督教団やルーテル派がカルト化したという話は(少なくとも私は)聞いたことがありません。

 たとえばペンテコステ派の一部は「神に◯◯と語られました」みたいなことを日常的に言いますが、これは「神の言葉の捏造」に繋がりやすいです。自分が感じたことを「神がこう言っている」と思い込んでしまったり、あるいは自分の願望や欲求を「神の言葉」に置き換えてしまったりするからです(実際にそういうことは起こっています)。
「そんなことをするのは悪い人間だけだ」という意見もあるかもしれませんが、そういう悪いことが容易にできる土壌なのが、そもそも問題ではないでしょうか。

 ですから問題を起こしやすい教派に居続ける限り、常にそういう危険性と隣り合わせなわけです。
「あの先生なら大丈夫だろう」
「この教会なら大丈夫だろう」
 そう思っても、教会の内情は外から見てもわかりません。関わってみて初めてわかります。そしてわかった時はすでに遅い、なんてこともあります。
 というわけで、カルト被害者が別のカルトに掛かってしまう、という状況が生まれます。

理解してもらえないという被害

 さて別の二次被害として、カルト被害を訴えても理解してもらえない、というのがあります。
 教会で牧師に酷い目に遭い、それを他教会の牧師に訴えたら逆に責められた、なんて話があります。被害者からしたら踏んだり蹴ったりなのですが。

牧師も人間なんだから、罪を犯すことはある。信徒ならそれを理解して、許すべきだ

 一見もっともらしい言い分です。実際そういうことを言う牧師やクリスチャンがいます。どんな罪でも主にあって許すのがクリスチャンでしょう? みたいな。でも私の経験では、被害に遭ったことのない人間に限ってそういうことを言います。

 先日私が投稿したツィートを引用しましょう。
 牧師に個人的な相談をしたら、教会の皆に暴露されました。絶対に知られたくないことでしたから、大変憤っています。これでも許すべきですか? という知恵袋をたまたま見たんだけど、第一の回答が「許すべきです」で戦慄。第二の回答が「『許す』と『赦す』は違います」で唖然。これがクリスチャン?
個人情報をバラす牧師ももちろん問題ですが、その被害者に対して許すべきとか、許しと赦しがどうとか、そういう心ない回答をするのもどうかと思いましたね。

 こんな感じで、キリスト教界には、加害者のくせに「聖書は許せと言っている」などと言いだす輩とか、部外者のくせに「許し」ばかり強調する輩とかがいます。
 被害者の心を、見ようとしないのですね。

被害者ビジネス

 他に「被害者ビジネス」があります。
 カルト被害者の救済活動を、あくまでビジネスとして展開する人たちです。被害者に寄り添うようでありながら、結局のところ被害者を選んだり、利用したりするのです。だから助けてもらえると思って近づくと、ガッカリすることがあります。

 さて、ザッと見ただけでも、これだけの二次被害があるのですね。
 残念ながらキリスト教界は、カルト被害者が安心して被害を訴えられない世界なのかもしれません。であるなら被害者の方で、ある程度自衛しないといけませんね・・・(4月29日のメルマガにて、更に詳しく書いています)。

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