「牧師先生」ってそんなに偉いんですか?

2018年3月20日火曜日

雑記

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 もう何年も前の話ですが、ある国に旅行をしました。
 アジア圏ですがプロテスタントが盛んな国です。メガチャーチがいくつもありましたから、順番に回って、見学させてもらいました。
 あ、旅行でなく、教会の「研修」でしたね。

 ある教会はさながらオフィスビルみたいでした。施設内に一般のコーヒーショップが出店しているくらい大きかったです。
「副牧師室」なる部屋もあるんですが、もう部屋と言うよりオフィスでした。一般的な大企業の、ガラス張りのオフィスを想像してもらった方が正確です。
 そして牧師室。まさに昭和の社長室の雰囲気でした。高級そうな絨毯、革張りのソファ、壁一面の書棚、奥にはこれまた高級そうな執務机。
 牧師がソファに座ると、きっちりスーツで決めた女性が、お茶をお盆に載せて現れます(秘書のようでした)。私たちは緊張しつつ向かいに座っています。牧師は客人である私たちに柔和な笑顔を見せてくれました。しかし秘書に向き直ると突然、眉間にシワを寄せて、厳しい口調で何か言いました。言われた秘書は慌てた様子で、駆けて行きます。どうやら粗相があったようです。私は全然気づきませんでしたが。

 後から聞いたところによると、どうやらお茶がぬるかったようです。それで淹れなおして来いと怒られたんだ、と。
 日本では考えられない光景じゃないでしょうか。

 その系列の日本人教会にも行きました。
 さすがにオフィスビルではありませんでしたが、立派な建物です。日本だったら間違いなく「大きな教会」に分類されるでしょう。
 ちょうど礼拝の日で、二百人くらい集まっていました。せっかく日本から来たということで、私たちは一曲披露させてもらうことになりました。でも全員舞台に上がるので、写真を撮る人がいません。ちょうど近くに(現地の)日本人牧師がいましたから、私は「写真撮ってもらえませんか」とデジタルカメラを差し出しました。
 その牧師は一瞬、表情が固まりました。が、すぐ「いいですよ」と笑顔で受け取ってくれました。その一瞬の変化が気になりましたね。でも考える間もなく、舞台に上がりました。

 歌っている最中、私はその牧師を目で追いましたが、写真を撮る様子がありません。何やってんだと思いましたが、別の女性が私のカメラをこちらに向けています。どうやらその牧師が渡したようでした。
 でも牧師はただ座って、腕を組んでいるだけです。忙しい様子はありません。
 それで、あの表情の意味がわかりました。牧師は写真など撮らない。そんな雑用は牧師の仕事じゃない。そういう認識だったのでしょう。

 その国では牧師が異様なほど畏れられていました。
 牧師が移動する時は、まわりに何人ものスタッフが付きます。牧師のためにドアを開け、傘を差し、ペットボトルの水を渡し、耳元でスケジュールをささやきます。では牧師は何をするかと言うと、だいたいふんぞり返って座っているだけです。
 もちろん、私が見た限りのことですけどね。

 こういう風景は最近日本でも見られるようになりました。
 ある牧師は言います。
「会堂の空調は、牧師の体感に合わせろ。牧師は照明を浴びてメッセージするから暑いんだ」
「相談があってもいきなり来るんじゃない。まずメールでアポを取れ」
「牧師は神の声を聞くのに忙しいんだ。余計な雑用をさせるんじゃない」
「牧師からの電話には3コール以内に出ろ。牧師を待たすんじゃない」

 もちろん、そんなのは一部の牧師だけだと思うんですけどね。
 それにしても、牧師ってそんなに偉いんでしたっけ?
 信徒を召使のように使い、気に入らなければ罵倒して、そのくせ外部の人間にはいい顔を見せる。そういうのが「羊を養う」ってことなんでしたっけ?
 私は違和感しかないですね、そういうの。

 それがキリスト教なんだったら、みんな牧師になった方が得じゃないでしょうか。
 一般の信徒が1人もいなくて、みんなが牧師という教会。
牧師A「おい、冷房の温度をもっと下げろ。こっちは暑いんだ」
牧師B「うるさい。神の声に集中できないだろ」
牧師C「こっちは寒いんだ。誰か冷房を止めろ」
牧師D「求めなさい。さすれば与えられん。神が今そう語っておられる」
牧師A「そんなことより誰か冷房を下げろ!」

 そういう教会だったら、べつに牧師が偉そうにしてても文句はありません。
 絶対に行きませんけどね、そんな教会(笑)。

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