クリスチャンの「祈り」と「行動」について・その2(熊本地震に際して)

2016年4月22日金曜日

教会と地域社会 信仰に見せかけた…

t f B! P L
※熊本県、大分県、および周辺地域で発生した地震について、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。

 地震発生からすでに1週間以上が経過した。まだ現地では余震が続き、多くの方が避難所や車中で、不自由な生活を余儀なくされている。支援物資が次々送り込まれていると聞くけれど、まだまだ十分とは言えないようだ。しかし現地でついにボランティアの募集が始まった。支援の手は徐々に広がっているようだ。

 前回の記事で紹介した水俣の知り合い(牧師)も、連日物資を現地に運んでいる。自分のことでないから大いに自慢するけれど、彼は教会の信徒や周辺の住民から託された物資を、片道5時間かけて(高速道路を使えないので)、この1週間ほぼ毎日運んでいる。現地の教会に物資を一時保管させてもらい、地域の住民に配っているという。当然ながらクリスチャンとかノンクリスチャンとか関係なく。今は伝道どころでなく、ただ現地の必要を満たしたい一心で働いている。

 それを知る近所の人(未信者)が、牧師の車が小さいからということで、大きなバンを貸してくれたという。また物資の輸送をボランティアで手伝ってくれる人(やっぱり未信者)もいて、助けられているそうだ。
 被害からの一日も早い回復を願うばかりだ。

ところで・・・

 ところでこういう大規模災害で必ずと言っていいほど出現するのが、「神の罰だ」論者と、「終末だ」論者。
 幸福の科学の教祖が今回の地震を受けてトンデモなことを言っているようだけれど、残念ながらキリスト教界にも同じような輩がいる。いよいよ終末が近づいたとか、携挙の時が近いとか、これは神からの警告だとか、だから悔い改めよとか、言いたい放題。それで踊らされる人々も少なからずいるようで嘆かわしい。

 でもたぶん、彼らはちゃんと聖書を読んでいないと思う。聖書は自分たちにとって唯一絶対の教典であるはずなのに。

 たとえば終末の前兆として、「あちこちにききんが起こり、地震が起こる」と確かに書いてあるけれど、文脈を無視してはいけない。それらは「生みの苦しみの初め」とも書いてある。つまり、地震イコール終末ではない。
 それに飢饉も地震も人類の歴史とともにあるのだから、どの地震をもって「終末の前兆」とするかは、誰にも言えない。
 また終末の前兆の一つに「戦争」が挙げられているけれど、現代は人類史上でみれば平和な方である。

 つまり、今が終末でないと言うことはできないけれど、同じ強さの口調で、終末だと言うこともできない。

 それに聖書は、終末のタイミングを予測しなさいなどと一言も言っていない。聖書の終末に対する忠告はこれだ。
「惑わされないようにしなさい」

 だから私たちは注意深くなければならないと思う。○○が起こったから××だ、となんでも簡単に関連付けるべきでない。つまり大地震だから終末だ、イスラエルが攻撃されたから終末だ、大事故で大勢死んだのは神の罰だ、とか。
 また現実のいろいろな出来事に「霊的意味」を付けたがる人たちがいるけれど、そんなの何とでも言える訳で、手相占いとか星占いとかと大差ない。だいいち今回の熊本地震で言えば、たとえすごい「霊的意味」がわかったところで、それで空から支援物資が降ってくる訳ではない。もし空から降ってくるとしたら、それは自衛隊や在日米軍や高須ヘリが頑張っているからだ。

 またそこまで電波な状態でなくても、「祈りに勝るものはない」みたいな主張を繰り返すだけで、1円たりとも自分の懐を痛めない輩もいる。べつに寄付や義援金を強要する気はないし、祈りを否定する気もない。けれど「祈ります」と言って被災地に心があることを表明するのなら、現実に起こっている事柄をちゃんと見るべきだと思う。そして想像力を働かせてみるべきだ。そうすれば、被災地では水や食料は「祈り」に勝り、清潔な衣服やナプキンも「祈り」に勝り、安全に休める場所も「祈り」に勝る、ということに気付くだろう。

 もちろん、祈っても無駄だとか、意味がないとか、そういう話をしているのではない。祈りは祈りで大切だと私も信じている。ただ優先順位の話であって、今被災地に必要なのは祈りよりも現物なんだよ、というだけの話。

 また、「祈れば必ず神様が働いて下さる」と信じるのは良いことかもしれないけれど、本当に信じてる? 今まで自分自身のことで、祈ればどれも必ず実現しましたか?
 また「被災地に平安を」って言うけど、どういう種類の「平安」なの? 何をもって「平安」とするの? 本当に被災地に対して心があるなら、そういうことを具体的に想像しているはずだけど?

 ちなみに私が思う「平安」を感じる瞬間は、たとえば着の身着のままで避難した先で、無償で飲料水や食料をもらえたり、毛布をもらえたり、大丈夫ですかと優しく声をかけられたりする時だ。遠くで「祈ってます」と言われる時ではない。


お知らせ

 最後に、本文中で触れた、水俣の私の知り合い(被災地支援をしている牧師)について少し。

 水俣福音キリスト教会
 主任牧師 神園悟
 〒867-0035 熊本県水俣市月浦248-12
 TEL 0966-63-5883

■同教会の支援活動の様子
  
↑沢山積まれた物資

↑地割れした道路

 
↑避難所の様子
 
↑教会にて配給

↑小学校に物資を届ける

■同教会の、熊本地震被害における義援金窓口口座
 ゆうちょ銀行
 支店番号:718
 口座番号:3211407
 口座名義:センド ラブ クマモト
(記号17170 番号32114071

 ※義援金口座は熊本県も開設していますし、熊本市の農協とか赤十字とか他にもあります。クリスチャンの人に頑張ってほしい、と特別願われる場合は、こちらもアリかと思います。

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