「長時間祈れ」というスピリチュアル・ハラスメント・その2

2014年11月6日木曜日

スピリチュアル・ハラスメント

t f B! P L
「長時間祈れ」というスピリチュアル・ハラスメントについて。2回目。

 ところで「スピリチュアル・ハラスメント」という言葉は私が勝手に書いてみただけで、要は今まで「信仰の虐待」と表現してきた事柄を指している。実際にこういう言葉があるのかな、と思って少し調べてみたら、けっこう使われている。キリスト教に限らず、いろいろな分野でそういうことが起こってるようだ。気をつけないといけない。

 余談だけれど、カルト的教会から苦労して離れた人が、今度はちゃんとした教会を探そうと思いつつ、結局また同じような教会を選んでしまう、ということがある。もちろん本人は注意しているし、信仰について真剣に考えている。なのに何故だろうか。よくわからないけれど、その教会なり牧師なりの本質はちょっと関わっただけではわからない、というのはあると思う。

・「長時間祈れ」の長時間の内訳

 本題。
「長時間、集中して祈らないと〇〇できない」と主張する牧師がいる。言い方はいろいろあって、「身を引き締めて祈らなければ・・・」とか、「心を尽くして祈らなければ・・・」とか、まあ聖書っぽい言葉を使う。一応牧師だから当然か。

 けれど前回も書いた通り、「〇〇して下さい」と祈っていたらとても2時間持たない。そこで、「異言」が彼らの武器(?)となる。「異言が語れるようになったら、何時間でも祈れるようになりました。ハレルヤ!」とかいう訳で、意味不明の単語を2時間連発し続ける。途中で静まったり、激しくなったり、単語が変わったりと、多少の変化はあるけれど。

「異言」については過去に書いたので、興味のある方は「異言」ラベルで見てほしい。
 ここで簡単に書くと、「異言」は自分が話したことのない、理解できない外国語を流暢に話す現象として聖書に登場する。それも練習なし、準備なしでいきなり話し出している(使徒2章)。だから現代の「異言」使用者が言うような、「初めは人の真似をすればいい」とか「だんだん種類が増えていく」とかいう種類のものではない。しかも聖書の異言が「完璧な外国語」であるのに対して、彼らのは全く意味不明な単語の連発である。
 そういうのを「異言」と信じ込んでいる人には、使徒2章をよーく目を開いて読んでみて、先輩たちから言われたことと、聖書が単純に言っていることとの違いを、よく比較してもらいたい。誰にでもすぐわかる、明白で決定的な違いが、簡単にわかるはずだ。

 で、「長時間祈れ」牧師によると、祈りにはプロセスがあるという。

 彼らは祈り出すと、すぐに悪魔の攻撃を受ける、という。だから初めは「霊的に重たい」「非常に圧迫される」「頭痛など身体に攻撃を受ける」などと言う。
 だから初めの方は、「悪魔との戦い」に祈りが費やされるそうだ。

 しかしその重苦しいプロセスを抜けると、いわゆる「打ち破り」が起こり、一気に楽になるという。
 そして「主を讃える祈り」に入る。本当に賛美し出したりもする。
 続いて「主を尋ね求める祈り」に入る。「主は熱心に探す者に現れる」と彼らは言う。だから一心不乱に、主に何かを語られるまで、祈り続ける。すると「主は必ず語って下さる」とのこと。

 そして最後に、「語られる」段階に入る。「主がモーセに顔と顔とを合わせて語ったように、いやそれ以上の親密さで、主が語られる」そうだ。このプロセスに入ると、彼らは恍惚とした表情で、「おお主よ」とか、「うーん」とか、気持ち悪い声を上げる(一部の牧師によると、それは「霊的エクスタシー」とか言うそうだ。勝手に感じてろ)。

 とにかくそれらのプロセスを「異言」で通るので、(かけようと思えば)1時間でも2時間でも、かけられる。
 そしてそういう祈りができる人が、「霊的権威者」なのだという。

 けれど、かなり早い段階のところで否定するけれど、祈りは「悪魔との戦い」ではない。神への語りかけだ。「祈ると悪魔が攻撃してくる。それを打ち破って、神との会話の道を開かなければならない」というは、ストーリーとしてはわかりやすいけれど、そんなこと聖書のどこにも書いていない。だいいち「頑張って祈らなければ神と会話できない」というは、前回書いた通り、能力主義であり、律法主義だ。

 彼らはよく、

「私たちの神との関係はreligion(宗教)ではない。relation(人間関係)だ」

などと言う。なかなか気の利いた言葉だと(彼らは)思っているようだ。
 けれど彼らの「努力して神に近づく」行為は、まさに「宗教」だ。「人間関係」ではない。努力して祈れば、献金すれば、奉仕すれば、その結果として神と親しい関係になれる、というのが彼らの主張であって、つまり「関係」を振りかざした「宗教」でしかない。
「長時間祈れ」など、その好例であろう。

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